疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

2012年おすすめランキング・読書編

ご無沙汰です。今回は読書メーターで登録した2012年に読んだ本ベスト20を紹介します。

http://book.akahoshitakuya.com/u/74933/cat/256978外部リンク

【ルール】
読書メーターで登録しているのが専ら小説なので悪しからず
・ただランキングを羅列するだけでは味気ないので、1冊ごとに少しばかりコメントを付ける
・出版社名をそのまま表記しているものは単行本(文庫本に非ず)
・過去二回以上読んだ小説はランキングから除外
読書メーターで行っている10段階評価に換算すると、
1位:★★★★★
2位〜7位:★★★★☆
8位〜20位:★★★★ 相当
・そこ!半分以上がラノベとかどーなってんの、とか言わない!!

1位:冲方丁『光圀伝』角川書店

光圀伝

光圀伝

コメント:押しも押されもせぬ第一位。豪気で型破りな光圀に出会えるのは本書。時代劇の水戸のご老公も割と好きだけど。後半は光圀の周囲の人物の墓碑銘を読み上げているようだったが、これが人生か。『史記』や『論語』といった漢籍の知識がないと着いていくのは少し辛いかも。


2位:司馬遼太郎坂の上の雲』文春文庫

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

コメント:日露戦争を軸に明治時代の日本を描く。人物紹介の際にその人物のエピソードを語るという形式は『銀河英雄伝説』が受け継いだ。日本人って坂を上るのは上手いけど、上った後途方に暮れてしまうタイプなのかも。


3位:三上延ビブリア古書堂の事件手帖3』メディアワークス文庫

コメント:相変わらずのクオリティ。古本のことになると目が爛々と輝かせて語り出す栞子さんの姿が浮かぶようである。今後は篠川家の事情もだんだん明らかになっていくかも。


4位:宮城谷昌光『草原の風』(上・中・下)中央公論新社

草原の風  上巻

草原の風  上巻

コメント:私が中国史上最高の皇帝だと考える光武帝・劉秀の生涯を描いた、タイトル通り爽やかな小説。劉秀は先祖の劉邦と、そのライバルだった項羽の長所を併せ持ち、短所を切り捨てた人物という印象。


5位:細音啓氷結鏡界のエデン10』富士見ファンタジア文庫

コメント:ストーリーはいよいよ大詰めか。少年少女たちの願いは、祈りは届くのか。前作やスピンオフの設定も引継ぎ、物語はさらに加速する。


6位:渡航やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。5』ガガガ文庫

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。5 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。5 (ガガガ文庫)

コメント:考えすぎてドツボにはまる主人公の心理描写は天下一品。気拙さの伝わり方が半端ない。終始共鳴しっぱなし。そのピークが5巻、夏祭り編の八幡と雪ノ下姉妹とのやりとりだった。


7位:庵田定夏ココロコネクト ユメランダム』ファミ通文庫

ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)

ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)

コメント:某エミヤが読んだら卒倒すること請け合いの内容。


8位:神崎紫電ブラック・ブレット電撃文庫

コメント:こういう重厚で熱いアクションものは私の好物。暗くて禍々しい雰囲気が、黒と極彩色を使い分けたイラストと上手く噛み合った作品。同じシリーズには二回以上投票しないと決めている私が、今年このラノアンケートで1位に投票した作品でもある。


9位:九岡望エスケヱプ・スピヰド電撃文庫

コメント:人造兵器と化した少年と、平凡な少女とのSFアクションチックなボーイ・ミーツ・ガール。『アクセル・ワールド』に次ぐ電撃小説大賞受賞作になりそう。昭和が21世紀まで続いていたらこういう世界観になっていただろうか。


10位:米澤穂信『二人の距離の概算』角川文庫

ふたりの距離の概算 (角川文庫)

ふたりの距離の概算 (角川文庫)

コメント:校内マラソン大会って辛いよねえ。しかも距離が長い上に未舗装の道が多い。新入部員とは何だったのか。


11位:犬村小六とある飛空士への誓約ガガガ文庫

とある飛空士への誓約〈1〉 (ガガガ文庫)

とある飛空士への誓約〈1〉 (ガガガ文庫)

コメント:この中に一人、スパイがいる!


12位:涼木行『豚は飛んでもただの豚?2』MF文庫J

豚は飛んでもただの豚?2 (MF文庫J)

豚は飛んでもただの豚?2 (MF文庫J)

コメント:真っ当な青春もの。あだち充作品の主人公を少しグレさせたらこんな感じになるだろうか。ところで作者は生きてるかい?結構続きを楽しみにしているわけだが。


13位:童門冬二小早川隆景』人物文庫

小早川隆景 (人物文庫)

小早川隆景 (人物文庫)

コメント:一介の国人だった毛利元就が10カ国を治める大大名になれたのも、その孫の輝元が関ヶ原で西軍につきながら大名として生き残れたのも、小早川隆景に拠る所大なり。


14位:森島ビンゴ『東雲侑子は全ての小説をあいしつづける』ファミ通文庫

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)

コメント:これも真っ当な青春もの。恋愛ものは多少苦味を感じるぐらいが丁度良い。


15位:柳広司ジョーカー・ゲーム』角川文庫

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)

コメント:何事にも囚われないスパイたちの痛快にしてスリリングな活躍ぶり。実は結城中佐って良い人?


16位:至道流星大日本サムライガール星海社FICTIONS

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)

コメント:日本よ、これが○通の力だ!アイドルから政界への進出を目論むという設定が泥臭いが、筋道がしっかりしているので説得力のある作品になっている。


17位:村上凛おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!4』富士見ファンタジア文庫

コメント:最初主人公をオタクにした『とらドラ!』かと思ったけど、結構独自の路線を展開していて感心。桃は最初嫌いなヒロインだったが、今では少々見直している。


18位:白鳥士郎のうりん4』GA文庫

のうりん 4 (GA文庫)

のうりん 4 (GA文庫)

コメント:ねえねえ、トヨタ自動車一社の総売上>日本の農作物の総売上 なのって知ってた?パロディと下ネタのオンパレードでハイテンションな一方、そういう農業についての豆知識も学べる良作。


19位:間宮夏生『ペルソナ×探偵NAOTO』電撃文庫

ペルソナ×探偵NAOTO (電撃文庫 ま 12-4)

ペルソナ×探偵NAOTO (電撃文庫 ま 12-4)

コメント:ペルソナ4に登場した白鐘直斗の本編終了から1年後を描く。ペルソナ万能すぎる。シリーズの雰囲気は良く出ていた。本編よりはエグいかも。


20位:大江健三郎万延元年のフットボール講談社文芸文庫

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

コメント:ようやく純文学のお出まし。修飾語をこれでもかと贅沢に使っているが、無駄は感じなかった。時代が移り変わっても、転換期の人間の本質は変わらないんだなあ。