疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

劇場版ガールズ&パンツァー

本日は行きつけの新宿バルト9に「劇場版ガールズ&パンツァー」を見てきました。というわけでネタバレを含む感想を書き綴ることに。ところで、劇場版アニメの上映期間中に複数回鑑賞に行ったのは「魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語」以来2度目*1。内容について語りたいことは多々あるけど、キリがないので掻い摘んで述べていきたいと思います。

ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER)|公式サイト
f:id:kamikami3594:20160112000507j:plain

概要を振り返ってみて

まあ結論から言えば、
ここ数年で見たアニメの中でも最高
と言っていい完成度だった。ボジョレー・ヌーヴォーのレビューのように毎年のように「素晴らしい」「10年に1度の出来」みたいな誉めちぎり方は当分しない…はず。継続高校のミカが「戦車道には人生で大切なことのすべてが詰まっているんだよ」と語った通り、文科省陰謀 意向で大学選抜チームに8対30の殲滅戦に勝たなければ今度こそ廃校を余儀なくされる大洗女子学園に、昨日の敵は今日の友とばかりに、今までの対戦相手や盟友の高校から助っ人が現れた展開は興奮を禁じ得なかった。やっぱりチームメイトのみならず他校のライバルも心酔させる西住殿の人望は半端ない!

一方で大洗女子大学選抜チームの島田愛里寿、個人的には「銀河英雄伝説」のラインハルトに見える。戦術、戦略共に天才的なセンスの持ち主、部下は年上ばかり、性格や立場のせいか心を許せる友人はほぼ皆無*2という点が共通している。

みほと愛里寿のボコを巡るやり取りを見るに、二人は年の差を越えたいい友達同士になれそう。なかなか人に心を開かないクーデレ天才少女にできた初めての友達、みたいな。愛里寿が激レアのボコをみほに取られようとしたときに見せた寂しそうな表情と、みほにその健闘をたたえるため、激レアボコを譲って感謝された際に頬を赤らめたのが印象的だった。ロリというか幼女キャラには基本興味がなかったけど、愛里寿は自分の中で結構好感度の高いキャラだった。

熱かったシーン


特に熱かったのは、カメさんチーム、アヒルさんチーム、アンツィオ組、継続組が共同戦線を組んで巨大なカール自走臼砲を撃破するシーンだった。干し芋パスタに乗せられるアンチョビもアンチョビだが、首尾よくカールを撃破できたようで。さすが大型戦車キラーのカメさんチーム。戦車連盟理事長がこれが戦車なのか訝しんでいたけど、かの「チョロQコンバット」でもストームタイガー(シュトゥルムティーガー)やマウスと並んで戦車扱いだったからいいよね!

そして横転して履帯が破損しても敵を引きつけて戦い続け、相打ちに持ち込んだ継続組は何者だ。マンネルヘイムにハユハ、ユーティライネンを生み出したフィンランド仕込みなだけはあると思った。このシーンのカンテレの踊るような軽快な旋律を伴って繰り広げられる戦闘シーンが好き。

他にも如何なる時も優雅に戦うことを説いていたダージリンが、今回は自分たちの勝利が目的ではないという枕詞を付けつつも、みほたちのために泥を被ってT-28撃破のための囮になったのも熱い。本作随一の人気キャラだけある。それから、もちろん西住姉妹の連携が見事な中央広場での決戦も外せない名シーンである。ティーガーの空砲で愛里寿の乗るセンチュリオンに突撃を仕掛けるというのは、まさに今までのみほの戦車道の集大成だと思った。

雑記


エキシビジョンマッチの試合中に旅館肴屋の主人が自分の旅館が破壊されて狂喜したり、アリサが「盗聴」「たかし」ネタでからかわれたりするなど、TV版の描写を踏まえた小ネタが随所に盛り込まれていたのが、スタッフがTV版以来のファンの心理をよく踏まえてくれていて何とも心憎い。今回はアリサ(平野綾)の台詞が多かったのが嬉しい。ハルヒのときに比べれば声はだいぶ低くなったけど、それがいい。最近はアニメの出演は少ないが、声も演技も特に声優の一人。

ミカ以外の新キャラからも目が離せなかった。大洗女子と共に戦うことで退くこと以外にも戦う術があることを学んだ西絹代隊長率いる知波単の面々に、桃ちゃんに初戦果を献上した聖グロリアーナ一のビッテンフェルト俊足ことローズヒップなど、実にいいキャラしていると思った。ローズヒップ平塚市出身説が流れたときは何故か思わず心の中で頷いてしまった。非常にしっくり来てしまったもので。

というわけで、見てよかった。やはり戦車道には人生にとって大事なものが詰まっていたようだ。仲間を信じて戦うこと、状況が不利でもやり方次第で勝機は掴めること、最後まであきらめずに戦うこと。

というわけで、

ガルパンはいいぞ

*1:1/17加筆修正。結局その後3回見に行きました。ダージリンの詩がノルマンディー上陸作戦を踏まえていたこと、知波単チームの愉快さ、桃ちゃんこと河嶋桃の成長ぶり、といった今まで注目してなかった要素が見えてきた。

*2:ラインハルトにはキルヒアイスという自らの半身とも言える親友がいたが…。