行雲流水

ごきげんよう

2018年3月の読書

3月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:1601
ナイス数:54



世界史概観(上) (岩波新書)世界史概観(上) (岩波新書)感想
『タイム・マシン』などの著作で知られるSF作家が語る世界史のアウトライン。上巻は地球の誕生から十字軍遠征まで。ヨーロッパ史が中心ながらも、イスラーム圏をはじめ周辺の影響を絡めつつ、歴史のターニングポイントを中心に描画している。1939年が初版ということもあり、新鮮味はないが、勘所は押さえられており、上手くまとまっている。20世紀初頭の改良主義啓蒙主義的なインテリの思想が反映されている、という点は一考しておく必要はあるが。
読了日:03月01日 著者:H.G.ウェルズ
世界史概観 下 (岩波新書 青版 600)世界史概観 下 (岩波新書 青版 600)感想
下巻は十字軍遠征からフルシチョフ政権まで。それまで極東の辺境の地にある日本の開国以降の急速な近代化を世界史上前例のない事象として捉えているのが興味深い。
読了日:03月05日 著者:H.G.ウェルズ
理由(わけ)もなく悲しくなるの (ひらり、コミックス)理由(わけ)もなく悲しくなるの (ひらり、コミックス)感想
袴田めらセンセはかわいらしい絵柄でなかなかドロドロとした粘度の高い話を描くという点で印象に残っていた。本作は椿と菊花という二人を中心に数珠繋ぎに展開される話。椿があれこれ菊花に独占欲を含む様々な感情を向けるも、終盤で見せた「好きな人がその人らしくあることに 邪魔するものがあるならば それを許しちゃいけなかった たとえそれが私自身であっても」というモノローグに百合の神髄を垣間見た。
読了日:03月08日 著者:袴田 めら
キミイロ少女 (百合姫)キミイロ少女 (百合姫)感想
「わた百合」の作者・未幡先生のデビュー作となる短編集。「これは、にせもの」の偽物から始まった関係を本物にしたい先輩と後輩の話や、「好きの距離」での陸上バカの友達に追いつきたい少女の話、といった話の中に現状の関係をより進展させたいという彼女らの気持ちにどこか眩さを感じた。
読了日:03月09日 著者:未幡
お姫様のひみつ (ひらり、コミックス)お姫様のひみつ (ひらり、コミックス)感想
ふとしたきっかけで王子様的な先輩と交際することになった、というお話。定番の少女漫画に百合のフレーバーを加えた、こなれた感じが読んでいて小気味よい。藤原さんから広沢さんファンを鞍替えする美羽の友人の動きにリアリティを感じた。恋愛ごっこから本物の関係へと発展、というのは王道だ。「お姫様はお姫様のキスで目が覚めてもいいのです。」というあたり、やはり藤原さんは王子様でありお姫様なんだなあ、と思った。
読了日:03月10日 著者:森永 みるく
私に体、売ってみない? (百合姫コミックス)私に体、売ってみない? (百合姫コミックス)感想
親の借金を形にそっちの稼業のお姉さんに身を売られた女子高生の話…と言うと物々しさや淫靡さが漂うが、実際のところはハートウォーミングな作品。
読了日:03月10日 著者:真田 ハイジ
戦前日本のポピュリズム - 日米戦争への道 (中公新書)戦前日本のポピュリズム - 日米戦争への道 (中公新書)感想
日比谷焼打ち事件から近衛政権下での大政翼賛会成立までの日本史を「ポピュリズム」の観点から概括する。朴烈怪写真事件や統帥権干犯問題といった時の政権を揺るがしたポピュリズムの恐ろしさに戦慄が走る。政党政治への失望が5・15事件や2・26事件を義挙として称え、実行犯の減刑嘆願まで行われる世論を醸成し、モダンで教養あるも、戦争を泥沼化させた近衛文麿や、国際連盟脱退時のパフォーマンスなど外交におけるアクロバットを好む松岡洋右といった人々を政治の表舞台に立たせることに繋がったことを我々は肝に銘じる必要があると思った。
読了日:03月15日 著者:筒井 清忠
ピエタピエタ感想
18世紀のヴェネツィアに実在したピエタ慈善院が舞台。神職の傍ら孤児たちに音楽を指導していた作曲家ヴィヴァルディの遺した楽譜を手掛かりとして、弟子のエミーリアが物語を紡ぐ。今に伝わるクラシック音楽が人の手を伝って継承される過程を描く、薫り高い物語だった。
読了日:03月20日 著者:大島 真寿美

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