行雲流水

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いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)

「いじめ」が発生するメカニズムについて、学校での事例を中心に分析し、それに対する対策を論じた本。

本書はいじめの根本的な要因は、「空気を読むこと」や「ノリの良さ」が支配する「学校的な秩序」であると指摘する。学校のようにベタベタした人間関係を求められる場所では、普遍的な論理よりもその場のノリが重視されるためである。そうした秩序を乱す者に対する不全感やむかつきが、秩序を安定させる者をして群れて暴力を行使させる方向に導く。

他にも「癒しとしてのいじめ」というものもある。それは「自分はいじめを耐えぬいてタフになった」という自己肯定感を得るために、いじめを再生産するというものである。かつてのいじめられっ子がいじめっ子になるというもの、とも言える。

対策として挙がっているものは
・学校の法化(暴力的いじめには警察で対応)
・「学校的な秩序」を作り出している学級制度、推薦入試の廃止
・特定の生き方が共通善とならない「自由な社会」の達成
・学ぶ内容を教科的、技能的、道徳的な分野に分けた上で、すべての子供に国家試験を受けさせ、合格した者に卒業認定をする

といったもの。ドラスティックすぎて少々受け入れにくい感じがする。クラス制の廃止、という提言は割と共鳴するところがあったが。