行雲流水

ごきげんよう

プロメア

最近のTRIGGERアニメは傑作が多い。

映画『プロメア』公式サイト 5/24(金)全国ロードショー

火消し・パワーワード・歌舞伎

最初から最後までクライマックスだった。その一言に尽きる。その怒濤の勢いと熱量、今まで見てきた劇場版アニメの中でも1,2を争う出色の出来だったと思う。

本作の主人公ガロ・ティモスは突然変異的に出現した能力者バーニッシュの火から市民を救うレスキュー隊員。その風貌や歌舞伎を思わせる台詞回しや見得の切り方は、間違いなく本作の今石洋之監督&中島かずき脚本の『天元突破グレンラガン』のカミナのセルフオマージュだろう。もちろんカミナと異なる点も多いが。

そんな「燃えて消す」がモットーの暑苦しいほどの熱血漢が邂逅したのがバーニッシュのクールな少年リオ・フォーティア。最初は火消しと放火犯という敵同士として出会った2人が、主にリオとバーニッシュたちが抱える事情を掘り下げるうちに物語の歯車が高速回転を始める。拙者敵として登場した相手が味方になる展開好きすぎ侍なので大歓迎。これもグレンラガンのヴィラル以来か。

水と油、氷と炎、火消しの熱血漢とクールな炎使い。一見矛盾する2つの要素がぶつかって起こす化学反応。それこそが本作のアメコミのような世界観とストーリーの基調を成している。

本作は異能力バトルアニメかつロボットアニメである。であれば、アクションも見逃せない。江戸の火消しに倣って纏を手に消防用搭乗型ロボットを駆るガロの姿からは、カッコいいシーンであれ、ギャグめいたシーンであれ、粋が感じられた。

物語も佳境に差し掛かって乗機デウス・エックス・マキナを入手したガロとリオだが、ある目的のためにバーニッシュの犠牲を厭わない宿敵クレイ・フォーサイトの前に苦戦する。その中で2人が息を合わせて乗機を本領発揮させ、ガロ・デリオ爆誕につながった展開が自分の中のクライマックス。まさに熱い氷と冷たい炎の化学反応である。

その間に昂る興奮を抑え難かったのが怒濤の如きパワーワードの連鎖である。特にクレイの「滅殺開墾ビーム」はその威力の絶大さと効果の特殊性もあってインパクトが強烈だった。他にも「瞬砕パイルドライバー」「絶対零度宇宙熱死砲」「連鎖型絶対凍結弾」「火の元用心パンチ」「マッチ一本火事の元キック」など、尖ったネーミングセンスがこれほどか、と遺憾なく冴え渡っていた。

そしてこれらの台詞を松山ケンイチ早乙女太一堺雅人といったキャスト各氏に言わせるのがすごい。特に堺氏演じるグレイが本性を表してからの演技と台詞は本作でしかお目にかかれない貴重なものだと思う。何かが憑依したとしか思えない。

プロメアは傑作中の傑作だけど、中でも感心したのはデウス・エックス・マキナでフォーサイト(予測)を破るという構図だった*1

ここまで語ってきたが本作には本当に圧倒された。今石&中島コンビのアニメのファンはもちろん、とにかく熱くてエネルギッシュな作品が見たい、堺雅人氏らの演技が気になる、といった人にはいの一番に勧められる傑作なので是非見てほしい。絶対円盤買うぞ‼️

*1:デウス・エクス・マキナ」は「機械仕掛けの神」の意味で、ご都合主義の象徴。その勢いが人のフォーサイト(「予測」の意味の英単語foersight 、クレイの姓と同じ綴り)を凌駕することに本作の熱いエネルギーを強く感じた。