行雲流水

ごきげんよう

2019年12月の読書

12月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:4802
ナイス数:84


マリア様がみてる 10 レイニーブルー (コバルト文庫)マリア様がみてる 10 レイニーブルー (コバルト文庫)感想
暗い展開に突入した状態で続編刊行まで鬱々とした長い時間を過ごすことを余儀なくされた、いわゆる「レイニー止め」という用語が生まれたきっかけの巻。事の発端は、祐巳のお気に入りのおもちゃを取り上げられた子供のようなわがままさというか独占欲によるものだったとは思うが、何度読んでも切なさで胸が締め付けられる。
読了日:12月01日 著者:今野 緒雪
フラグタイム(1) (少年チャンピオン・コミックス・タップ!)フラグタイム(1) (少年チャンピオン・コミックス・タップ!)感想
3分間だけ時間を止めることができる少女と、時間停止が通用しない少女の関係を描く。時間を止めて2人だけで同じ時間を共有するというと、まるでJ-POPのラブソングの歌詞をそのまま切り出したかように響くが、それを(物理的に)具現化したかのような作品。「童貞みたい」と評される森谷美鈴の青臭さと、彼女をからかういたずら好きな年上彼女のような雰囲気を醸し出す村上遥のキャラが絶妙。
読了日:12月01日 著者:さと
フラグタイム 2 (少年チャンピオン・コミックス・タップ!)フラグタイム 2 (少年チャンピオン・コミックス・タップ!)感想
話が進行するにつれて本作はつまるところ、人の輪の中に加わることを拒み続けてきたために人とずれた時間を生きるようになった少女と、人の輪の中に入り続けているうちに自分自身を見失った少女の物語であることに気付く。社会への適応を拒絶したままでも、過剰に適応したままでも生きることは難しい。とはいえ、クラスメイトのプロフィールをほぼ完全に網羅する「努力」をはじめとした行為から垣間見える遥の人となりを美鈴が「好き」と評したことには感動を禁じ得なかった。
読了日:12月01日 著者:さと
マリア様がみてる 11 パラソルをさして (コバルト文庫)マリア様がみてる 11 パラソルをさして (コバルト文庫)感想
前巻「レイニーブルー」の解決編。なくした愛用の傘が巡り巡って手元に戻って来たのと軌を一にするように紅薔薇姉妹の関係が修復されてより強固になるという美しい展開。性さm、
じゃなくて聖さまは本当にここぞという時に頼りになる。
読了日:12月02日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 12 子羊たちの休暇 (コバルト文庫)マリア様がみてる 12 子羊たちの休暇 (コバルト文庫)感想
相手方が仕込んだ狡猾な罠とも言えるイベントの音楽会を「マリア様の心」の独唱で乗り切った祐巳に怖いものなし(のはず)。
読了日:12月03日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 13 真夏の一ページ (コバルト文庫)マリア様がみてる 13 真夏の一ページ (コバルト文庫)感想
何だかんだで福沢姉弟は仲がいいと思う。祐麒は生徒会長(それも男子校の)というガラではないと思いかけたが、そうでもなかった。そして祥子さまの男に対するガードの堅さは鉄壁だ。
読了日:12月04日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 14 涼風さつさつ (コバルト文庫)マリア様がみてる 14 涼風さつさつ (コバルト文庫)感想
花寺学院の学園祭に呼ばれたリリアン女学院山百合会の面々。やはり可南子のストーカーぶりのインパクトは本作らしからぬ絶大さだが、彼女の台詞が後々響いてくるため油断できない。根はいい子だしね。そして、彼女の存在がかえって祐巳と祥子の絆をより強める雨降って地固まる、的展開になっているのが素晴らしい。アニメ3期の「Chercher 〜シャルシェ〜」の歌詞とリンクするストーリーだったのが見事。信頼関係が強固すぎて付け入る隙もない。
読了日:12月05日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 15 レディ、GO! (コバルト文庫)マリア様がみてる 15 レディ、GO! (コバルト文庫)感想
リリアンの体育祭。祥子さまの学ラン姿は祐巳じゃなくても凛々しいと思うだろう。そして祐巳と祥子さまが互いの家族と直接接点を持ったことで、二人の関係がより進展する布石が整った。そして祐巳流の可南子との距離の縮め方が彼女らしくていい。訳ありな人物や心を閉ざした相手へのアプローチの仕方が鮮やかすぎる。
読了日:12月06日 著者:今野 緒雪
石黒くんに春は来ない (幻冬舎文庫)石黒くんに春は来ない (幻冬舎文庫)感想
単行本版と同じ作品でありながら読後感が大きく変わった。特に後半〜エピローグは同じ事柄を異なる視点から眺めているような感じで、まるで別の作品だったという印象。特に「居場所を奪われることへの怒り」について、「謝ったんだから許してあげよう」と言われて許しを強いられた経験を経て「弱者は選択肢を提示されても実際に選べるものは限られている」と喝破したシーンに胸が透いた。「許すか否かを決めていいのは自分だけだ」から転じて「自分の感情は自分だけのものだ」という価値観に本作は鎧われているように思う。
読了日:12月07日 著者:武田 綾乃
息吹息吹感想
中国系米国人の小説家によるSF中短編集。タイムトラベル、人工肺、AI、並行世界など様々な要素を駆使して縦横無尽の想像力と精緻な構成で綴られている。AIの成長の末につきまとう問題、人が去ってサイバー廃墟と化したVR世界、並行世界間コミュニケーションを実現するデバイスといったガジェットを盛り込んだ往年の文豪のような流麗な文体による語り口は、まさにSF文学だった。『アラビアンナイト』をベースとしつつ、タイムトラベルで過去を変えられない、という結論に至るまでの過程をほろ苦く描いた『商人と錬金術師』が一番好き。
読了日:12月11日 著者:テッド・チャン
マリア様がみてる 16 バラエティギフト (コバルト文庫)マリア様がみてる 16 バラエティギフト (コバルト文庫)感想
初登場の人物中心の話もあれば、由乃中心の話や卒業後の江利子さまや聖さまの話もある短編集。相変わらずその場限りの登場人物を自然にストーリーに溶け込ませるのが上手い。
読了日:12月15日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 17 チャオ ソレッラ! (コバルト文庫)マリア様がみてる 17 チャオ ソレッラ! (コバルト文庫)感想
アニメ2期にも収録されたイタリアへの修学旅行編。ロサ・カニーナとの思いがけない再会や、聖さまがいたと思しき痕跡が見つかったりと国境を越えてもリリアンの物語は地続きであることを実感。そしてフィレンツェ饅頭とはなんぞや。
読了日:12月17日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 18 特別でないただの一日 (コバルト文庫)マリア様がみてる 18 特別でないただの一日 (コバルト文庫)感想
花寺を巻き込んだ「とりかへばや物語」と細川家のちょっと複雑な家庭事情を浮き彫りにするエピソードなど、収録作品とタイトルのさりげなさのギャップが強烈。
読了日:12月18日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 19 イン ライブラリ (コバルト文庫)マリア様がみてる 19 イン ライブラリ (コバルト文庫)感想
図書館を巡るエピソード。寧子と真純と浅香の3人の本作では珍しい(?)三角関係を描いたストーリーの印象が強い。誰も幸せにならないのは何ともやり切れない結末。
読了日:12月19日 著者:今野 緒雪
中華の成立: 唐代まで (岩波新書 新赤版 1804 シリーズ中国の歴史 1)中華の成立: 唐代まで (岩波新書 新赤版 1804 シリーズ中国の歴史 1)感想
国史というと二十四史的な王朝ごとの歴史や三国志的な英雄豪傑の歴史を思い浮かぶが、本書は土地や官職、税制といった統治機構の変遷に頁の多くを割く画期的な一冊。春秋戦国時代の社会の流動性の高さや貢献制と封建制の前提があってこそ、秦の郡県制やその発展形となる漢の郡国制が成り立つという着眼点が鋭い。王莽の再評価やその後の歴代の政治家がこぞって手本にしたという「漢魏旧制」についてはもう少し調べてみたい。
読了日:12月20日 著者:渡辺 信一郎
マリア様がみてる 20 妹(スール)オーディション (コバルト文庫)マリア様がみてる 20 妹(スール)オーディション (コバルト文庫)感想
なかなか「妹」ができない祐巳に対して由乃の一言でオーディションで「妹」を決めようというトンデモ発言が飛び出すが……。なんだか由乃の方が先に菜々という妹ができそうな予感。
読了日:12月21日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 21 薔薇のミルフィーユ (コバルト文庫)マリア様がみてる 21 薔薇のミルフィーユ (コバルト文庫)感想
紅・黄・白の三薔薇ファミリーを巡る作品集。江利子さまを彷彿とさせる菜々にどこかたじたじの由乃の姿が新鮮だった。アニメにおける江利子さまと菜々の声優が同じ人であるのも納得。
読了日:12月22日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 22 未来の白地図 (コバルト文庫)マリア様がみてる 22 未来の白地図 (コバルト文庫)感想
ついに瞳子を妹に使用と決意する祐巳。が、事がそう上手く運ぶことはないのは宿命と言うべきか。がんばれ祐巳、そしてがんばれ瞳子黄薔薇のところは菜々が上手く溶け込んでいく感じで対照的。
読了日:12月24日 著者:今野 緒雪
マリア様がみてる 23 くもりガラスの向こう側 (コバルト文庫)マリア様がみてる 23 くもりガラスの向こう側 (コバルト文庫)感想
祐巳が祥子さまと過ごす2度目の正月、新年会。山百合会の面々が祐巳瞳子との間の経緯について気遣っているあたりに、彼女がいかに信頼されているか思い知る。それにしても柏木さん、実に憎めない、そして油断ならないキャラだ。後は瞳子に再チャレンジするか!?
読了日:12月26日 著者:今野 緒雪
総合タワーリシチ 完全版 上 (ヤングキングコミックス)総合タワーリシチ 完全版 上 (ヤングキングコミックス)感想
天才タイプと秀才タイプの2人を中心に据えた群像劇的作品というと『あの娘にキスと白百合を』を連想するが、本作はギャグ多めのハイテンションな作品。でもそれゆえか、忘れた頃にやってくる百合が映えるちょうどいい塩梅になっている。正直上巻を読み終えた時点では、キャラの顔と名前を一致させるのに難儀した。
読了日:12月28日 著者:あらた 伊里
総合タワーリシチ 完全版 下 (ヤングキングコミックス)総合タワーリシチ 完全版 下 (ヤングキングコミックス)感想
総合学科の面子に加え、生徒会メンバーも加わってストーリーは加速していく。ギャグのテンションも上がるが、百合的な感情の応酬もより鋭い形を取る。それぞれの生い立ちゆえに他者との相対的な比較を通じてしか自分を評価できなかった神奈と悠が比較の対象とならない絶対的な関係を築いていく話、というのが本作の位置づけだろうか。
読了日:12月29日 著者:あらた 伊里
とどのつまりの有頂天 1 (ヤングキングコミックス)とどのつまりの有頂天 1 (ヤングキングコミックス)感想
前作『総合タワーリシチ』を凌駕する勢いで全力疾走するハイテンションギャグ百合漫画。今回はメインキャラを3組に絞った感じ。その分、初速の勢いを1冊を通して維持する緩急の付け方と、不意打ちのようにやってくる怒濤の百合の波状攻撃の威力は高すぎる。クオリティがズルい。
読了日:12月30日 著者:あらた伊里
とどのつまりの有頂天 2 (2巻) (ヤングキングコミックス)とどのつまりの有頂天 2 (2巻) (ヤングキングコミックス)感想
すべては「相手が好きで浮かれてるのは自分だけで、相手は自分のことをそうは思ってくれない」という両片思いの関係が両思いの関係に発展することに収束すると思うと感慨深い。杜絶えることを知らない、寄せては返すギャグと百合の波の洗礼を受けるという貴重な経験となった。
読了日:12月31日 著者:あらた 伊里

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