裁判員制度の正体
- 作者: 西野喜一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/08/17
- メディア: 新書
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裁判員制度について批判的な観点から紹介する本。著者曰く、この制度は
①無用な制度(国民の「健全な社会常識」を司法界に持ち込むため生まれた制度だったはずなのに、そもそも制定した側も皆望んで生まれた制度ではなかった)
②違法な制度(憲法18条の「奴隷的拘束および苦役からの自由」、19条の「内心の自由」、31条の「裁判の適正手続」、37条の「公平・迅速な公開裁判」にそれぞれ違反)
③粗雑な制度(手抜き審理に陥る可能性)
④不安な制度(事件の真相究明、事実認定の上で問題あり。さらに裁判員による誤審、興味本位の尋問また、それによる冤罪の増加を招く)
⑤迷惑な制度(被告が証言を否認または黙秘し続ければ、それだけ裁判が長引き、裁判員の時間的拘束が莫大なものになる。これは赤紙ひとつで国民を動員する徴兵制(やはり18条に違反)を髣髴とさせる制度)
だそうだ。
他にも、
・「無作為にお上から選ばれてしぶしぶ裁判員になるのに裁判官よりも『常識的な判断』ができるのか?」
・「殺人事件が対象なら、死体の写った現場の写真を見せられるそうじゃないか。特にバラバラ殺人の場合だったら一生モノのトラウマだろうね。国が強制的に呼び出しておいてこうなったらどう落とし前をつける気?」
・「『健全な社会常識』を謳い文句にするなら、なぜ殺人といったほとんどの国民と直接関係のない重大な刑事事件が対象なんだ?もっと関わりが深いであろう軽微な刑事事件や民事事件に導入したほうがましじゃないか?」
・「そもそも『健全な社会常識』って何?」
と私が裁判員制度について疑問に思っていたことについても明快に答えている。
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