日本は世界4位の海洋大国
- 作者: 山田吉彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/21
- メディア: 新書
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「海洋」という観点から日本の強みと可能性を滔々と述べた本。
ざっと主要な内容を箇条書きにすると、
・日本の領海+EEZの広さは世界6位で、海水体積は米、豪、キリバスに次ぐ4位(1580立方㎞)。
・その「日本の海」の中には尖閣諸島の1000億バレル、800兆円分の石油の他、ウラン、レアメタル(プラチナ、インジウム、コバルトなど)、医療や環境などの科学分野で応用できる生物やバクテリアなどが豊富にある。
・日本の海には世界三大漁場の一つである北西太平洋の漁場があり、地球全体の海の生物の内14.6%(33629種類)が生息している。
・近年日本は、2007年の海洋基本法の制定、2009年の海洋管理のための離島の保全管理の在り方に関する基本方針の策定などを通じて今までなかった「海洋政策」の観点から国家戦略に取り組んでいる。
・他にも2008年には国土の1.7倍の大陸棚確保に向け、海底地形の変化を示すデータを国連大陸棚権限委員会に提出している。
・漁業従事者は97年に約28万人、07年に20万人と減少しつつあるが、養殖漁業などの新しい形態は成長の可能性が高く、参入のチャンスはある。
・2006年、韓国は日韓漁業協定に基づく話し合いで、EEZの基点を竹島とした。これが認められると日本は約2万2千平方㎞のEEZを失うが、その代わりに日本が長崎県の肥前鳥島を基点とすれば、約3万6千平方㎞のEEZを獲得し、その付近に眠る地下資源も得ることになる。そのためにも肥前鳥島を開発すべきである。
といったことが書かれていて、海のロマンと日本の可能性について想いと考えを巡らしたくなる内容である。個人的に『日本は世界5位の農業大国』より興味深く、勉強になった。