宗教vs.国家
- 作者: 工藤庸子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/19
- メディア: 新書
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現在は近代国家において自明の理となっている「政教分離」の原則がフランスでどのように成立したのかを論じた本。内容は第三共和制(1871-1940)の時代の事柄が中心になっている。
フランスでは、ナポレオン3世の第二帝政期から政府とカトリック教会の対立が激化していた。第三共和制が成立すると、教会も市民社会の法律に従うべしという「反教権主義」が生まれ、フェリーなどの政治家は修道士を教育現場から排除するといった政策を採る。 「国家の宗教からの自由」と言うと聞こえがいいが、教会は学校・病院での慈善活動や地域住民の福祉に大きく関わっていた。第三共和制の時代には国家と宗教の関係を巡って多くの血が流れた。
フランスは国民の8割がカトリックを信仰する国だが、今はイスラーム系の移民が多く、宗教的理由からブルカを纏って登校した女子生徒と学校の対立など、摩擦も絶えない。政教分離の原則とイスラーム教は相容れないと言っていい関係で、難しい問題であると思い知らされた。
それを考えると、トルコはすごいな。フランスと直接関係ないけど。