疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

「劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟」

この先、例によってネタバレ注意



と言うわけで3/1に「ヒューマントラストシネマ渋谷」まで見に行ってまいりました。ライトノベルを原作とした映画を見に行くのは今回が初めて。今まで行った映画館よりも小ぢんまりとしていて洒落た感じ。全国30館ほどの小規模上映だから、映画館自体もそれほど大きいところにしなかったのだろうか。

思ったより面白かった。「とある」シリーズの魅力を凝縮した良作だったと思う。しっかり科学と魔術が交差していた。ラッキースケベというか、サービス(?)シーンが多かったのは気になったところであるが。

この先はレビューというよりも、あらすじの続きという感じ。

エンデュミオンは宇宙エレベーターという触れ込みだが、天体同士を繋ぐエレベーターではない。ステイル曰く、こういう超大規模な建造物はそれだけで魔術的な意味合いを帯びているそうな。バベルの塔がそうであったように。確かに、宇宙まで届く構造物というのはバベルの塔を連想させる。

そんなエンデュミオンの正体とは、オービット=ポータル社の社長・レディリー=タングルロードが死ぬための術式を完成させるために建造させた代物だという。あらあら、随分と壮大な墓標だこと。そして規模が巨大すぎて迷惑度も際限がない。不老不死というのも考え物である。時は戦国の世じゃないんだから、死ぬときは殉死を求めず一人で死になさいロリ婆。

一方で術式の完成にはアリサに歌わせて人柱にすることが必要だった。レディリーはシャットアウラら黒鴉部隊に彼女の身柄を確保させ、魔術サイドの追っ手の追撃を振り切ろうとする。が、シャットアウラはかつてオービット=ポータル社が飛行機のパイロットだった父・ディダロスの事故死に関与していたことを知り、レディリーを襲撃する。後で父の尽力で彼以外の乗員乗客88人全員が生存したこと、そしてアリサの歌がその奇蹟を起こしたことが判明するが、父を喪ったシャットアウラは「奇蹟」を断固として信じない。事故当時、彼女は父が操縦する飛行機に乗り合わせたが、助かったことに対する後ろめたさもあったのかもしれない。

エンデュミオンが開通すると、アリサはコンサート会場となったエンデュミオンで歌う。このあたりマクロスっぽい、という声をよく聞くが、残念ながら私はマクロスシリーズは未視聴。ただ、宇宙+歌とくればマクロス、というのはピンとくるけど。

それはともかく、術式の完成とエンデュミオンの倒壊を同時に防ぐには、その3箇所ある基部を破壊しなければならない。そのために魔術サイドと科学サイドは一時的に手を取り合う。超電磁砲組、一方通行+ミサカネットワーク、ステイルとその弟子たちがチームプレイを魅せてくれたのは白熱する展開だった。一方で彼らの協力を得た上条とインデックスはアリサの救出に向かう。MVPは間違いなく神裂火織ねーちん。宇宙空間で刀を振るって戦うとかさすが聖人。露払いとはいえ。

アリサは歌い続けていたが、事故の後遺症で音楽をノイズとしか認識できなくなったシャットアウラの襲撃を受けてしまう。そしてそこに上条が乗り込んで、シャットアウラに恒例の説教+「そげぶ」をお見舞いする。やっぱり男女平等パンチだなあ。そしてインデックスもレディリーの許にたどり着き、この術式では死ねないこと、自分の力で術式を解除することを告げる。こうしてこの件は一件落着(?)となった。その後アリサは消えたようだが、シャットアウラたちはどうなったんだろう。おそらく「奇蹟」を認めたのだろう。本作は「奇蹟を肯定する物語」と表現できるかもしれない。

作中オリジナルキャラの中ではシャットアウラが気になった。日笠陽子のキャラには黒髪ロングが多いことを再認識。あと声が伊藤静に少し似ていると思った。「けいおん!」の秋山澪や「もしドラ」の川島みなみや「ダンガンロンパ」の霧切響子の時はそうは思わなかったよてへぺろ☆(・ω<) 共演しているアリサの中の人は「アクセル・ワールド」の黒雪姫役の三澤紗千香だけど、最初黒雪姫の役は日笠さんが相応しいとか思っていたこともあったなあ。何はともあれ、日笠さんは「進撃の巨人」、「惡の華」、「コードギアス 亡国のアキト」と今後見たい作品によく出演が決定しているので、これからも注目していきたい。