疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

機動戦士ガンダムSEED

私にしては珍しく4クール、全50話のアニメであるガンダムSEEDを見終えたので心の赴くままにいろいろ書き綴ってみよう。

プロローグ

SEED本編を語る前に、ガンダムシリーズのうち、私が今まで見たことがある作品について一通り語っておきたい。

私は今まで無印(1st)、Ζ、ΖΖ、逆襲のシャア(CCA)、0083、08小隊、UC(ユニコーン)とガンダムシリーズを視聴してきた。感想について簡単に述べると以下の通り。

・無印: 今に続く後続作品の原型というだけあって、この中では一番面白かった
・Ζ: 悪くはなかったが、話が暗くて泥沼だったという印象
・ΖΖ: 主人公らのしたたかさや反骨精神を感じられた、無印の次に好き
・CCA: テーマが明確で面白かった
・08小隊: ミリオタ向けという印象、今見ると多少評価が変わるかもしれない
・0083: 敵陣営の面々は格好よかったけど彼らの行動原理が残念だった
・UC: さしたる欠点はなかったが、主人公にほとんど全く共感できず退屈だった

総合すると、どれも完成度は低くない―むしろ高い―し、別につまらないと言うほどでもなかったが、あまり自分の心に響くような内容ではなかった。そもしかしたら今見れば評価も多少変わるかもしれないが。あと単なる坊主憎けりゃ袈裟まで憎い理論と言われればそれまでだし、私の観測範囲内のことに過ぎないかもしれないが、好きな作品の話題よりも嫌いな作品の話題で盛り上がるガンダムのファンダムにも馴染めなかったことも、ガンダムから距離を置くことが多かった所以である。

コーディネイターナチュラ

ある程度長いアニメを見てみたい、そしてたまには自分らしくないアニメを見てみたい、自分で自分の意表をついてみたいという思いから見始めてみたガンダムSEED。結論から言うとガンダムシリーズの中では一番面白かった。

個人的に一番興味深く思ったのがコーディネイターナチュラルの対立という構図である。コズミックイラ(C.E.)の世界では遺伝子調整によって身体能力や知能を拡張されたコーディネイターと遺伝子調整を受けていないナチュラルと、人類が二分化されている。分断された彼らが相争う構図は、SF的なガジェットが好きな自分としては惹かれるものがあった。

宇宙世紀においてニュータイプを崇拝する人は宗教の過激派やカルトに傾倒する人を見るかのような、どこか他人事のような感覚を伴うものだったが、子の遺伝子をコーディネートして理想の子を作ろうとする親の心理は共感はできずとも私にとって理解は容易だった。というわけで、コーディネイターナチュラルの対立の構図は、ニュータイプとオールドタイプのそれよりも皮膚感覚的に身近で、リアリティをもって考えることができる内容のものだった。優生思想が行き渡ったディストピア文学っぽくて興味深い。

コーディネイターという名称について、Destinyなど続編は未視聴なので推論になるが、単に遺伝子調整を受けただけならcoordinatorではなくcoordinatedとでも呼ぶのが正確だろう。コーディネイターは作中で世界を調整・管理する人々として期待されているのかもしれない。

その他取り留めのない感想

少年がガンダムを駆って戦場の最前線に立つ、というシリーズの本文に沿った物語という意味でも本作は面白かった。主人公格2人が竹馬の友同士でありながらそれぞれ敵対する勢力に属するあたり、同じサンライズ作品である「コードギアス」を思い出すなど。終盤の共闘もベタだが熱い展開だった。

キラ・ヤマトは最高のコーディネイターということで、ストライクガンダムフリーダムガンダムといった機体を乗りこなすチートということで、彼の生い立ちの事情もあってその強さについては腑に落ちた。技術カレッジの学生であったことと、>>
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2話より