疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

2017年8月の読書

8月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:1105
ナイス数:27

雪の鉄樹 (光文社文庫)雪の鉄樹 (光文社文庫)感想
読み終えて、読者を引き込む訴求力抜群の小説だと思った。自分の育った複雑な家庭環境や過去の贖罪意識に囚われる主人公雅雪に沿って、彼の人生を否応なく追体験することとなった。どこか真面目で潔癖さすら感じさせる一方で、食器皿を灰皿として使ったことを舞子から咎められて自分の歪さを悟らされるシーンがあるように、彼の人生が変わっていくあたりに読み応えがあった。
読了日:08月31日 著者:遠田 潤子
あかりの湖畔 (中公文庫)あかりの湖畔 (中公文庫)感想
とある山の頂上で食堂を経営する一家の三姉妹を中心とした作品。誰しも人に言えない秘密を抱えて生きている、ということがテーマで、たとえ秘密があっても許し合える雰囲気があった。妹二人が自立しつつある中、長姉の灯子だけが家に残って現状維持の生活を続けようとしているのが印象深い。
読了日:08月26日 著者:青山 七恵
観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)感想
「日本史上最大の兄弟喧嘩」と称される観応の擾乱を概説。保守的な印象の足利直義と新興武士に支持される革新的な人物とされてきた高師直(と足利尊氏)の対立構図を前提とする通説を改める最新の知見が盛り込まれている。南北朝の抗争も重なって泥沼の時代にあったのがこの観応の擾乱であったという位置付けができた。足利尊氏、同じ幕府創設者の源頼朝徳川家康と比べると影が薄かったけど、割と人間味があって魅力的に映った。
読了日:08月08日 著者:亀田 俊和

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