疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

20190221_新小岩と上野の顔真卿展

前々から行きたかったラーメン屋と上野の東京国立博物館の展示を目当てにして。


新小岩

何気に新小岩には初上陸。一時期自殺の名所としてその名を全国に轟かせてしまったためか、採光用の屋根のウィンドウが青くなっていたり、ホームドアが設置されていたりと物々しい雰囲気だった。

この日第一の目的地は麺屋一燈。食べログラーメン部門一位の名店。食券をあらかじめ購入後、40分ほど待ってようやくありつけた一燈の魚介つけ麺。

香り高く濃厚だが癖がなく食べ応えのある、オーソドックスな魚介つけ麺だった。今度はラーメンの方を食べたい。



特別展 顔真卿

上野まで移動した後は顔真卿展のために東京国立博物館へ。特別展というものの勝手がよくわからないまま実地に挑んだために、入館まで80分待ちの行列に並ぶことに…。

唐の忠臣顔真卿が、現在の漢字の書体のスタンダードである楷書を確立させたことを体感できる素晴らしい展示だった。顔真卿のみならず中国の書の歴史を一望できたのは、大きな収穫と言って過言ではなかった。書道は縁遠いものと思っていたけど、少しアプローチできたと思う。

顔真卿のみならず、書聖王羲之や彼が強く影響を受けた初唐の虞世南、欧陽詢、褚遂良といった書家の写本が見事だった。字に書いた人の個性や性格が出る、とよく言われる。それは昔からということがよくわかった。

本展の目玉は「祭姪文稿」だが、これは顔真卿安史の乱で戦死した甥の顔季明のために書いた追悼文の原稿である。
音声ガイドで声優の関俊彦さんがその現代語訳を読み上げる朗読があったけど、顔真卿の無念さと悲憤慷慨がありありと伝わってきて臨場感が筆舌に尽くし難かった。

平日にもかかわらず入場までに80分、今回の展示の目玉である祭姪文稿を見学できるまで+60分という満員御礼ぶりで、祭姪文稿は諦めてしまった。



余談

今回の展示の中には「響け!ユーフォニアム2」にさりげなく登場した「楽毅論」があった。魏の夏侯玄が論じて東晋王羲之が書いた人物論だが、これも立派な展示物だったんだなあ。

あと唐太宗李世民王羲之ガチ勢ぶりも半端なかった。
王羲之の書を中国全土からかき集めるし、手ずから「晋書」の王羲之列伝を執筆するし、遺言で自分の墓の副葬品として王羲之作品を指定するし、とやりたい放題。