2019年5月の読書
5月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:4186
ナイス数:78
中国の歴史(三) (講談社文庫)の感想
後漢による再統一から侯景の乱前後の時代まで。数多の英雄豪傑が生まれた三国志の時代を含み、道教や中国における仏教の普及、周辺民族の盛んな流入などにより、いわゆるチャイナ・プロパーの再編が進んだ時代だが、著者の語る通り光彩陸離たる時代ではなく、光のとぼしい絶望の時代でもあるということを噛み締めておきたい。
読了日:05月01日 著者:陳 舜臣
やがて君になる(7) (電撃コミックスNEXT)の感想
新刊が出た時は「レイニー止め」をリアルタイムで耐え抜いた歴戦のマリみて読者のような心境だったが、蓋を開けてみれば小説版を佐伯沙弥香中心の巻だった。彼女は自分の思いを告白しきった。彼女を哀れむ権利も咎める資格も誰も持たないだろう。
読了日:05月02日 著者:仲谷 鳰
中国の歴史(四) (講談社文庫)の感想
隋の統一から北宋の滅亡まで。政治制度や仏教などを遣唐使を通じて学んだ平安時代、宋代民間レベルでの経済活動が盛んで文化的にも洗練されていた宋王朝と鎌倉(時代はずれているがそれに続く室町時代)という見方が可能であると思った。五代十国の人物といえば馮道と柴英か。
読了日:05月06日 著者:陳 舜臣
やがて君になる 佐伯沙弥香について(2) (電撃文庫)の感想
私は運命論者などではないが、本作を読んで合縁奇縁なる四字熟語を信じてみたくなった。一人の少女が「運命の女」とでも呼ぶべき相手と邂逅を果たす。彼女が心中に抱えているものの重さを知りながらも、どうしようもなく惹きつけられてしまう。そして彼女の側にいたい、そのためには手段を選ばない、という悲壮感漂う決意は見ていて居た堪れなくなるものだが、同時に実に清々しかった。
読了日:05月10日 著者:入間 人間
中国の歴史(五) (講談社文庫)の感想
遼・西遼といった契丹王朝の成立から明の統一まで。遼、金、モンゴル帝国といった非漢人王朝のダイナミックな趨勢に筆を割く一方で、秦檜、韓侂胄、史弥遠、賈似道といった歴代宰相による独裁体制と当時の文化も詳述しており、読んでいて興味深かった。
読了日:05月10日 著者:陳 舜臣
安達としまむら8 (電撃文庫)の感想
時系列的には本巻が最終巻らしい。1巻から二人の互いへの温度差や思い違い、コミュニケーションの取り方の違いに対して戸惑いながらも共に時を過ごす過程を描写してきたのが本作の特色だと思うが、ちょうど作中に登場した「五里霧中」という四字熟語が、これ以上にないほど当てはまっているかのように思えた。ライトノベル界の「リズと青い鳥」だったと言って過言ではない。
読了日:05月11日 著者:入間 人間
エーゲ海を渡る花たち(1) (メテオCOMICS)の感想
オスマン帝国がコンスタンティノープルを陥落させてから間もない頃の、15世紀半ばのヴェネツィアを舞台とした歴史的舞台を背景としたガールミーツガール。服飾や食文化をはじめとした時代考証が充実しており、国際色の強い当時のヴェネツィアの賑わいとその中で展開される人間ドラマがリアルに伝わってくる。果たして彼女たちがエーゲ海を渡り、オリハが妹に再開できる日が来るのか楽しみである。
読了日:05月14日 著者:日之下 あかめ
中国の歴史(六) (講談社文庫)の感想
明の永楽帝の時代から清の乾隆帝の時代まで。明を起こしたのは洪武帝こと朱元璋だが、建文帝から帝位を奪取して北京に遷都、その後の王朝の基本構造を定めたのが永楽帝であると考えると、彼は第二の創業者と言えるかもしれない。ティムールやヌルハチに関する事績も結構詳しい。他にも著者が明代の各時期の陶磁器を手掛かりに、当時の時代背景や歴代皇帝の力量を考察していた点が興味深い。
読了日:05月20日 著者:陳 舜臣
中国の歴史(七) (講談社文庫)の感想
アヘン戦争から中華人民共和国成立までを扱う最終巻。清朝が英国をはじめとした列強の動きに伍することができず、権勢を失って領土や権益を蚕食されていく過程が痛々しい。太平天国の乱鎮圧に活躍した湘軍や淮軍といった郷勇が中華民国期の軍閥割拠および十五年戦争の時代まで続いた、ということがよくわかる構成だった。
読了日:05月25日 著者:陳 舜臣
荒野 (文春文庫)の感想
初版はファミ通文庫から出た作品の合本。鎌倉在住の小説家を父の持つ少女・山之内荒野の少女時代を活写した小説。電車内のトラブルから救ってくれた少年と親しくなるが、その後の距離感が絶妙だった。彼の母親と自分の父親が再婚したというのは多感な時期の彼女には複雑だったことだろう。それにしても奈々子さんいいキャラだったなあ。
読了日:05月30日 著者:桜庭 一樹
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