百合の日2019 〜今後に期待できる百合作品〜
今年も百合の日を迎えたのでいろいろ雑談。雑談だけにTwitterでのノリに近く、口調が砕け気味なので注意。
昨年の記事はこちら
kamikami3594.hatenablog.com
去年から今年にかけては百合アニメなりコミックなり、結構な豊作だった。ちょうど1年前は劇場版アニメとして『あさがおと加瀬さん』、『リズと青い鳥』が猛威を振るっていたし、夏には『少女☆歌劇スタァライト』、秋以降も『やがて君になる』のアニメ放送など、顔のいい女と顔のいい女の巨大感情を追求する百合界隈は熱気に包まれていた。早川書房による百合SFフェアも始まる前から反響が大きく、始まったばかりの現時点で今後盛り上がることは火を見るよりも明らかだと言える*1。
今回は個人的に今後に期待できる作品を紹介したい。そもそも見たり読んだりする絶対数が少ない。まだ始まったばかりの作品が中心。ここに載ってない作品で素晴らしい作品があったらどしどし教えて下さい。
行進子犬に恋文を
去年取り上げた気がする。おそらく大正〜昭和初期頃の日本の陸軍幼年学校がモチーフというのが自分好み。子犬系女子の忍といかにも軍人然とした厳格な加賀美さんの関係が、どのように変化するか楽しみ。
繭、纏う
なんか別世界感が半端ない。クラシカルなお嬢様学校が舞台の危うくも妖しい雰囲気がたまらない。髪を編み込んだ制服を後輩に託すとかどうなのよ。『マリア様がみてる』はもちろんゲーム『FLOWERS』が好きな人とか相性が間違いなくいいと思う。
佐伯沙弥香について
『やがて君になる』のスピンオフ小説。佐伯先輩の小学校時代からの経験を描く。読んでいくと「こういう私にしたのは、あなたのくせに」という呪詛にも近いフレーズが脳味噌の中で何度もリフレインされる。この女は魔性の女の掌の上で幾度も踊らされる星の下にあったのか。
さよならローズガーデン
夏目漱石がロンドンに留学していた西暦1900年頃の英国が舞台。お嬢様と作家デビューを目指す日本人メイドの話。貴族文化や出版・書店の描写が話に彩りを添える。お嬢様ことアリスが意外と(?)病み気味でなんだか不穏。
君と漕ぐ
同じ作者の『響け!ユーフォニアム』より百合指数が高いと自分の中で噂の小説。2人の息を合わせないと二進も三進もいかないという競技だからこそ関係が映えるのではないか。
エーゲ海を渡る花たち
15世紀半ばのヴェネツィア公国、異国の少女という世界史好きにおすすめできる作品。服飾や食文化の描写を筆頭に、しっかりした時代考証に支えられており好感度大。ちょっと雰囲気が世界史の学習漫画っぽい。
ルミナス・ブルー
透明感のある端正な絵柄で元カノという粘度の高いテーマを追求する。その瞬間の映像ををピン留めしたように固定する写真という要素もどこか唆るものがある。少し前に作者が打ち切りの危機という窮状をTwitterで訴えたが、これを打ち切りにするなんてとんでもない、と心の底から言える。
スカーレット
耽美で血生臭い雰囲気の主従百合ダークファンタジー。『コミック百合姫』作品としては異端児。名作『吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん』といい、吸血シーンがあるとなぜか百合を連想してしまう。こちらも打ち切りの危機にあったが、やっぱりとんでもない。
スイレングラフティ
二人のJKが同居して漫画作りに励むという爽やかでアットホームな小説。こういう突っ張っていた子が情に絆されていく展開は好き。一昔前に読んだ『桜色の春をこえて』にちょっと雰囲気が似ている。