2020年1月の読書
1月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2718
ナイス数:86
近江から日本史を読み直す (講談社現代新書)の感想
継体天皇のことから比叡山延暦寺や近世以降の近江商人まで、湖国近江を中心とした歴史を解説。短い時期であったとはいえ近江に都がおかれていたことや、六角氏のことについてはもう少し注目が集まってもいい。
読了日:01月05日 著者:今谷 明
ヨーロッパとは何か (岩波新書 青版 D-14)の感想
ヨーロッパを地理的・歴史的に解き明かす。日本の法律や制度といった諸要素はヨーロッパの影響を受けているものの、受容が表面的な段階で社会的には後進 家が中心の古代経済が町が主体の中世、国が主体の近世・近代へと発展していく、という視点は気付いるようで気付かなかった指摘。
読了日:01月10日 著者:増田 四郎
熱帯魚は雪に焦がれる6 (電撃コミックスNEXT)の感想
楓の介入(?)もあってか、小夏が自分自身の感情の重さに押し潰されつつあるように思った。井伏鱒二に『山椒魚』に重ね合わせるかのように小夏と小雪が孤独でつながっていることを明らかにする描写の圧迫感は半端ない。
読了日:01月11日 著者:萩埜 まこと
彼女のイデア 1 (電撃コミックスNEXT)の感想
芸能活動を続ける女子高生と彼女に憧れる女子高生の物語。憧れの相手への理想と現実の姿とのギャップがテーマであり、「憧れの相手には憧れのままでいてほしい」というエゴが見え隠れしているが、そのエゴを保つための努力を「澄花を作ってあげる」と表現するセンスが好き。
読了日:01月12日 著者:冬芽 沙也
先パイがお呼びです! (1) (まんがタイムKRコミックス)の感想
絵柄とキャラがとにかくかわいい4コマ漫画。有り体に言えば主人公は生徒会長である先輩のパシリとして振り回されている感じがするけど、自ら進んで忠犬になろうとしているのもまた事実。だが、それがいい。
読了日:01月14日 著者:むっしゅ
先パイがお呼びです! (2) (まんがタイムKRコミックス)の感想
きなまよも当然魅力的だけど、ケンカップル気味のさとしおもなかなかいい線行っていた。全体的に緩めだけど居心地のいい雰囲気だったので、できればもう少し長く続いてほしかったが……。
読了日:01月16日 著者:むっしゅ
古代東アジア世界と日本 (岩波現代文庫)の感想
漢字、律令制、儒教、漢訳仏教を共有する「東アジア世界」文化圏という視座から同地域の歴史を捉え直す。唐滅亡~五代十国の王朝交代、渤海国や新羅の滅亡、日本における平将門や藤原純友の乱までが近い年代で連動しているという見方は重要だと思った。そして江戸時代の儒学者の思想が実際の中国の在り方と乖離していき、それが明治以降の日本にも影響を与えているというのはどこか恐ろしくもある。
読了日:01月18日 著者:西嶋 定生
ささやくように恋を唄う(2) (百合姫コミックス)の感想
個人的に今最も熱い百合漫画。1巻でひまりと依先輩の二人の視点から1回ずつ「もっとホレさせるから覚悟してね」が飛び出したけど、2巻でも再々登場。同じ台詞を異なるシチュエーションで使うやり方が好きすぎる。依先輩と同じバンドのアキ先輩と料理部の百々花先輩のような新キャラも登場して、今後の展開が楽しみ。
読了日:01月19日 著者:竹嶋 えく
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))の感想
映画「スターシップ・トルーパーズ」の原作にして「機動戦士ガンダム」の元ネタとなったSF小説。新兵ジョニーが過酷な訓練を経て、パワードスーツを身にまとい宇宙生命体と死闘を繰り広げる一人前の戦士となる過程を描く硬質な作風。兵役に就いて初めてフルスペックの市民権を認められる、という本作における地球連邦はまるで古代ローマ帝国のようだ。愛国心やら軍事論に関する記述が人によっては説教臭く感じるかも。
読了日:01月22日 著者:ロバート・A・ハインライン
荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)の感想
犯罪のために接近した相手と時間と秘密を共有していくうちに、気が付いたら惹かれていたというストーリーの強度が高すぎる百合小説。思ってみれば「プリンセス・プリンシパル」と舞台となる地域も時代もほぼ同じ。入れ替わりネタもあるからプリプリは実質荊の城かもしれない。
読了日:01月28日 著者:サラ・ウォーターズ
荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)の感想
二転三転する怒濤の展開が繰り広げられる下巻。本作は創元推理文庫から出版しているミステリー小説だが、入れ替わりというミステリー要素が十分活きているとは言いがたい。だけど、そんな瑣末なことはどうでもいいと思えるほど(百合)愛憎劇として熱量が有り余っていた。利用しようと思って近付いた相手に惚れ、惚れたと思ったら裏切られて憎み、憎んでもなお慕情がやむことを知らない、という隙を生じさせない三段構え。
読了日:01月31日 著者:サラ・ウォーターズ
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