相州限界神域

勇ましい高尚なる生涯こそ後世への最大遺物

2020年2月の読書

2月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2760
ナイス数:103

平将門の乱 (岩波新書)平将門の乱 (岩波新書)感想
再読。出版当時の最新の考古学の知見も盛り込んでおり、興味深い。増えすぎた皇族の臣籍降下、武士団の形成、軍馬や鉄器の産出や管理ができるだけの体制の確立など諸々の要素が浮き彫りにしている内容。
読了日:02月02日 著者:福田 豊彦
江南の発展: 南宋まで (岩波新書)江南の発展: 南宋まで (岩波新書)感想
「蘇湖熟すれば天下足る」とその豊かさを謳われた江南地域の殷から南宋までの歴史について。1巻と併せると従来の中国史としてではなく黄河流域(華北)と長江流域(江南)の南北関係史として捉えることができる。公的な理念である一君万民の「国づくりの論理」と幇という私的集団を主体とする「人つなぎの論理」の視点から中国史を眺望する見方が興味深い。党錮の禁王安石の改革における新法党旧法党の争いから梁山泊の人間関係に至るまで「幇」で括ってみると景色が変わって見える。
読了日:02月05日 著者:丸橋 充拓
さよならローズガーデン 3 (BLADEコミックス pixivシリーズ)さよならローズガーデン 3 (BLADEコミックス pixivシリーズ)感想
完結。華子とアリスの関係が互いに人生の伴侶であることは無論、メイドと令嬢の主従関係であると同時に出身国や身分・立場を超えた友同士であり、作家とその読者の関係だったという重層性が本作最大の特色だと思う。自分の未来を自分で選べる女子教育を日本で実現させるために英国に渡った華子、という設定も開明的な要素があって好き。そんな彼女を支えたのが(これは後に明らかになることだが)アリスの作品に登場する「行動を伴わない信念はただの空想でしかない」という一節というのは見事としか言いようがなかった。
読了日:02月08日 著者:毒田ペパ子
処刑少女の生きる道(バージンロード)3 ―鉄砂の檻― (GA文庫)処刑少女の生きる道(バージンロード)3 ―鉄砂の檻― (GA文庫)感想
「貴女に、なりたい。貴女に、なれない。」という帯の惹句の威力が桁違いすぎる。今まで以上に女女巨大感情がひしめき合うとんでもない(褒め言葉)巻だった。憎悪も対抗意識も憧憬も羨望もどれも量・質ともに一級品。「女主人公のラノベは売れない」というジンクスがまことしやかに囁かれていたラノベ界隈で、ここまでの作品を書いた作者に脱帽。モモ、白井黒子タイプのキャラだと思っていたがなかなか複雑そう。
読了日:02月15日 著者:佐藤 真登
女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話 (GA文庫)女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話 (GA文庫)感想
タイトル通り。原典が同人小説だったこともあってなかなか尖っていて甘美な作品だった。昨日の処刑少女3巻のこともあり、百合ラノベ界の変化の日進月歩ぶりに感嘆するほかない。反発していた相手に徐々に心酔していく過程を丹念に描写した上でやることはやってる(意味深)ので、そういうのが好きな人は可及的速やかに読めばいいと思う。
読了日:02月16日 著者:みかみてれん
わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) (ダッシュエックス文庫)わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) (ダッシュエックス文庫)感想
自称陰キャJKとスパダリ系JKというキャラ自体はそこまで珍しくはないと思う組み合わせとしては新鮮味を強く感じた。平凡に見えて真唯相手に割と強気に出ていたれな子と、どこか天然な真唯の掛け合いは変化に富んでいて読んでいて飽きがこなかった。脇を固めるキャラも魅力的。特に向日葵。全体的にありおとより好きかも。
読了日:02月21日 著者:みかみてれん,竹嶋 えく
ストライクウィッチーズ オーロラの魔女 (1) (カドカワコミックスAエース)ストライクウィッチーズ オーロラの魔女 (1) (カドカワコミックスAエース)感想
エイラやニパなどスオムスのウィッチの活躍を描いたスピンオフ。一応主人公はエイラでニパがもう一人の主人公という位置付け。でもエイラが501時代とさほど変わっていないのに対し、ニパが劣等感や焦燥感を克服して成長するエピソードがあるのを踏まえるとニパの方がメインだと思えてくる。
読了日:02月21日 著者:京極 しん
ストライクウィッチーズ オーロラの魔女 (2) (カドカワコミックス・エース)ストライクウィッチーズ オーロラの魔女 (2) (カドカワコミックス・エース)感想
アウロラ姉ちゃんマジ姉ちゃん。守りたいもの云々の話は、501加入後のエイラの在り方に通じるものがある。そしてニパイラはいいぞ。
読了日:02月21日 著者:京極 しん
行進子犬に恋文を(4) (百合姫コミックス)行進子犬に恋文を(4) (百合姫コミックス)感想
終盤の展開が唐突に感じたが、今後どうなるのか不穏(いわゆるレイニー止め)。愛船の失恋(?)は忍と加賀美さんの関係を占う試金石になる予感がする。忍の母親は加賀美さんが陸軍幼年学校に入学したきっかけの人だし、加賀美さんの母親は忍の恩人と呼べる人。このあたりの親の代からの因縁は今後ストーリーにより深く絡んでくることが予想されるが、その内容が今後の展開の分水嶺になりそう。
読了日:02月22日 著者:玉崎 たま
日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)感想
「メンバーシップ制」とか「企業と社員の恋愛結婚」と称される日本に特徴的な雇用制度を中心に、日本社会を規定する制度について浮き彫りにした本。その淵源が明治時代の官吏登用や報酬制度に加え、官僚制・軍制にまで遡ることができる点が勉強になった。海外との比較についても解説があり、日本に独特な大部屋主義は組織としての一体感はあるものの責任の所在が不明確なあたりが身に抓まされる。
読了日:02月27日 著者:小熊 英二
ペスト (新潮文庫)ペスト (新潮文庫)感想
前々から読みたかったが、新型コロナウイルスの世界的流行という時流に合わせて読んでみた。アルジェリアの架空の都市を舞台に、ペストの蔓延で外界から隔絶された環境で人々が徐々に日常を侵蝕されていくありさまを淡々とした筆致で描写する。前半はディストピアが舞台のパニック小説的な内容かと思ったけど、そんな単純なものではなかった。危機的状況が日常化する中、不条理を正常性バイアスによって受容することで平常心を保とうとする人間心理を鋭く照射する点に本作の深遠さを感じた。
読了日:02月29日 著者:カミュ

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