疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

2020年8月の読書

8月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:3821
ナイス数:69


陸海の交錯 明朝の興亡 (シリーズ 中国の歴史)陸海の交錯 明朝の興亡 (シリーズ 中国の歴史)感想
明王朝時代の中国に関する内容だが、単純な断代史ではない。明といえば「江南に発祥する中国史唯一の統一王朝で、永楽帝の代に北京に遷都したことで大きく性質が変わった」と捉えられることが多いが、永楽帝も父・洪武帝の流れを汲んで貿易を朝貢に付随するものに限る海禁政策を採用し、鄭和の艦隊による航海もその枠組の中で行われたものと解説する記述が興味深かった。
読了日:08月01日 著者:檀上 寛
星屑テレパス (1) (まんがタイムKRコミックス)星屑テレパス (1) (まんがタイムKRコミックス)感想
きららが作品の宣伝に「百合」という単語を使うだけで一大事(それっぽい作品はあっても「百合」は使わなかった)だが、その惹句に偽りはなかった。海果の努力、ユウの明るさと面倒見の良さ、遥乃の優しさ、瞬の頑固に見えて人がいい部分のすべてがうまく噛み合っていた。あと個人的にはコマぶち抜きのページ割りが好き。
読了日:08月04日 著者:大熊らすこ
ビザンツ帝国-千年の興亡と皇帝たち (中公新書)ビザンツ帝国-千年の興亡と皇帝たち (中公新書)感想
ローマ帝国から分裂後1000年にわたって命脈を保ち続けたビザンツ帝国の歴史を概説。日本では馴染みが薄いが、第二のローマことコンスタンティノープルを拠点とする、ローマ帝国の衣鉢を継ぐにふさわしい国際性豊かな王朝であることが明らかになる。歴代皇帝もローマ皇帝に負けず劣らず個性的。皇帝教皇主義(カエサロパピズム)に対する誤解の訂正やテマ制の解説などについて勉強になった。
読了日:08月05日 著者:中谷 功治
アクタージュ act-age 1 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 1 (ジャンプコミックス)感想
通読を始めたけど、以前読んだ時に1巻しか読んでいなかったので再読。黒山監督の夜凪景への入れ込みぶりが半端なく、今後の展開の布石がしっかり打たれていることが窺える。
読了日:08月05日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 2 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 2 (ジャンプコミックス)
読了日:08月05日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 3 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 3 (ジャンプコミックス)感想
デスアイランド編。役をとことん掘り下げる夜凪景、大衆が望む自分を寸分違わず演出する百城千世子というまったく対照的な二人の若き女優を中心にストーリーが進行する。端的に言えば役を自分に引き寄せるのが夜凪の、自分を役に適合させるのが千世子の流儀と言える。その中で両者の違いを描きつつ、夜凪が千世子の空虚さや血の滲むような努力を認めていく過程が好き。
読了日:08月05日 著者:宇佐崎 しろ
処刑少女の生きる道(バージンロード)4 ―赤い悪夢― (GA文庫)処刑少女の生きる道(バージンロード)4 ―赤い悪夢― (GA文庫)感想
アカリとモモ、同じ女を慕う犬猿の仲の女2人が呉越同舟の展開を繰り広げる回。絡繰り世と万魔殿のような過去登場した敵役も絡んできて、今後はますます混迷を極めそう。
読了日:08月10日 著者:佐藤真登
アクタージュ act-age 4 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 4 (ジャンプコミックス)
読了日:08月17日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 5 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 5 (ジャンプコミックス)
読了日:08月17日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 6 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 6 (ジャンプコミックス)感想
銀河鉄道の夜編。とにかく情報量が多くて読んでいて飽きが来なかった。芝居を創作である知りながら必要とする人、救いを求める人のために劇団天球を立ち上げた演出家・巌裕次郎と彼の元に集った明神阿良也らの人生の交錯を緻密かつ濃密に描く。個人的には母親の七光りと思われることを潔しとせずもがく星アキラの姿が印象深かった。俳優業を一種の福祉(セーフティネット)と捉える巌と、大衆相手のビジネスと捉える星アリサという対比もここで明確になっている。
読了日:08月17日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 7 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 7 (ジャンプコミックス)
読了日:08月18日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 8 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 8 (ジャンプコミックス)
読了日:08月19日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 9 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 9 (ジャンプコミックス)
読了日:08月19日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 10 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 10 (ジャンプコミックス)
読了日:08月19日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 11 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 11 (ジャンプコミックス)
読了日:08月19日 著者:宇佐崎 しろ
アクタージュ act-age 12 (ジャンプコミックス)アクタージュ act-age 12 (ジャンプコミックス)感想
羅刹女編。同じ演目でも役者や演出家が違うだけでもまったく異なる舞台に見える好例。甲側の演出家・山野上花子の舞台のためなら人の道を踏み外す芸術至上主義に則った一言で夜凪の瞋恚の焔を燃え上がらせつつ今後への伏線を張る展開には目を奪われた。他の編でも言えることだが、役者だけでなく演出家やプロデューサーといった存在を含めた遠景まで解像度の限りを尽くして精密に描いているので物語に引き込まれる。『少女☆歌劇レヴュースタァライト』でも描かれていたが、舞台に立つ役者の業は深く、その道のりは遙遠だ。
読了日:08月19日 著者:宇佐崎 しろ
「中国」の形成 現代への展望 (シリーズ 中国の歴史)「中国」の形成 現代への展望 (シリーズ 中国の歴史)感想
中華帝国の集大成とも言える清王朝習近平の現代までの中国の歴史。清朝が築いた諸制度が現在の中華人民共和国まで連続性を保って影響していることがよくわかる。顧炎武から梁啓超までの考証学の系譜、湘軍・淮軍を構成する義勇兵太平天国の構成員はどの勢力につくかの差に過ぎなかったこと、西太后李鴻章の相互関係などの記述が印象深い。
読了日:08月22日 著者:岡本 隆司
愛されなくても別に愛されなくても別に感想
それぞれ異なる問題を抱えた家庭に育った女子大生たちの共同戦線とでも呼ぶべき生活をテーマとした小説。世の人が能天気に信じる「家族愛」の虚像に苦しめられる日々を送ってきた2人がタイトル通り「愛されなくても別に」と自分を肯定できるようになっていく展開は清々しい。どこかドライだが篤い信頼に裏打ちされているという点で宮田陽彩と江永雅、2人の関係は同作者が生んだ黄前久美子高坂麗奈の関係にどことなく近しいものを感じた。
読了日:08月25日 著者:武田 綾乃

読書メーター