行雲流水

ごきげんよう

HELLO WORLD


クロニクル京都

京都市街だけでなく、宇治市が舞台になっていると聞いて居ても立っても居られなくなって鑑賞に踏み切ったのが本作。ポスト「君の名は。」的なボーイミーツガール作品だと思っていたら、最後の最後でタイトルの意味がわかって唸らされた後、さらにもう一捻りあって、いい意味で期待を裏切ってくる作品だった。

舞台はスーパーコンピュータ「アルタラ」によって現実世界の複製としてデータ化された京都。何も自分で決められないことを嘆く主人公の堅書直実は、10年後の自分と力を合わせ、交際中に宇治川花火大会の落雷で事故死する運命にある正統派クーデレ*1少女の一行瑠璃を救うべく、運命の書き換えを図るが……。未来の自分との遭遇するというのは『Fate/stay night』における衛宮士郎とアーチャー・エミヤの関係の相似形でもあった。

京都という街はファンタジーやミステリーだけでなく、SFとも相性がいいんだな、とつくづく思う。市街地の外れには山林があって昔ながらの寺社仏閣が多い学生の街、という街の性質によることものかもしれない。上手くは表現できないが、現実と空想の境界が曖昧な感じ。京都の街そのものがパワースポットなのだと私は思っている。

伏見稲荷大社の千本鳥居が現実世界とデータ世界のゲートウェイとする着眼点は好き。いかにもくぐると別世界にワープできそうな場所だし。それにしても出町柳と鴨川デルタを登場させるのは、俳句に季語を盛り込むにと同じような京都市街が舞台のアニメの課題なのかと思うほど。

そしてやはり「響け!ユーフォニアム」でもおなじみ、宇治の朝霧橋が登場したのには、大変テンションが上がった。シチュエーションとしてはとてもシリアスな場面だが、宇治が舞台の作品がまた一つ増えたのは嬉しい。

終盤の京都駅大階段のシーンはアルタラの自動修復システムが巨大怪獣へと変貌して襲いかかるということもあって、視聴したばかりの「ガメラ3」のガメラとイリスの決戦を彷彿とさせるものだった。さすがにガメラもイリスも京都タワーを千切って投げることはしなかったので、ある意味その時以上のインパクトがあった。そして最後のシーンに一捻りもふた捻りも加えたのは見事。呆気にとられた。


元ネタになった『順列都市』も読んでみたい。

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

*1:クーデレという単語自体死語になりつつある気がする