疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

ご報告

もう1年経ったから話してもいいよね、ってことでお話ししたいと思います。本当はもっと早く話したかったけど、タイミングを逸し続けてそのまま丸一年経過してしまいました。

ご報告

ご報告といっても結婚じゃないから安心してね💖

何があったかというと、昨年私にADHDASDの傾向があるということと、二次障害として双極性障害の状態にあることが判明しました。私との付き合いが長い人の中には「こいつ発達障害なんじゃないか?」という傾向をなんとなく察した人もいるかもしれませんが。

ADHD注意欠陥多動性障害は注意散漫で集中力が長続きしない「不注意」、落ち着きがない「多動」、言動が唐突になりやすい「衝動性」から成る発達障害で、人によってどの性質が優勢かは異なります。

私の場合はグレーゾーンということでしたが、不注意が優勢で昔からケアレスミスや忘れ物が多い他、特に口頭でのコミュニケーションに苦手意識を強く感じています。興味のない話題についていくのがつらい、情報の取捨選択が苦手、聞き漏らしや認識の齟齬が多い、会議などで長時間相手の話を聞くのが困難。特に面接やプレゼンテーションのような場や注意深い作業が必要な場面ではボロボロ。これらも注意力が足りないゆえに起こる事象とのことでした。

ASD自閉症スペクトラムアスペルガー症候群とも呼び、興味関心がある事柄へのこだわりが強く、空気を読めない(読まない)、融通が利かないなどの特徴が表れる発達障害です。

私の場合はADHDASDともにグレーゾーンで軽度ですがその傾向があるとのことでした。そういえば小学生の頃から世界の国旗の本やら動物図鑑を読み漁っていたし、テレビゲームに関しては放っておけば毎晩徹夜になるのも気にしない勢いで熱中するといったことがありました。

双極性障害は旧称を躁鬱病といい、躁状態鬱状態の気分の波が激しく仕事や日常生活に支障を来す精神状態にあることです。

私の場合は仕事など物事に取り組むときのモチベーションや機嫌がいい時と悪い時のムラが激しく、取り組むまでに腰が重くてやたら時間を要したり、短い時間の間に最初はやる気満々だった仕事への意欲が1時間も経たないうちに急激に低下するなどモチベーションが乱高下するということが今まで何度もありました。

発覚するまでの背景

一昨年、仕事上のミス、より具体的には不注意による手順の不遵守ややるべきタスクそのものをすることを忘れるといったことが相次ぎ、精神的に不安定に陥ったことで都内のある精神科に通うことにしました。精神科の先生から告げられた診断は、適応障害。そしてADHDの疑いがあること。

昔から不注意によるミスが多いことや落ち着きがないことは自他共に認めるところでしたが、そしてそこまでストレスを抱えていたという自覚がなかったという意味で、その診断結果は意外でした。

休職期間中は旅行に行ったり、散歩や喫茶店で読書するなどして自分の人生を振り返りつつ時間を過ごしました。と同時に今後の人生に対する不安や危機感が募っていました。

2か月の休職と準備期間を経て新しい現場(現職場)に配属となりました。とはいうものの、ADHDの疑いがあるということで今後の心配もあったため、詳しい検査を受けてみることに。

精神科の先生から紹介を受けていたクリニックの予約をなんとか*1取り、2日間にわたる検査と診察で判明したのが、ADHDASDの傾向があることと、二次障害としての双極性障害を抱えていることでした。

今では精神科に月1~2回の頻度で通院し投薬を受けることになりましたが、この経験から私は少し気持ちが軽くなりました。というのも自分が昔から集団行動が苦手だったし、集団の中で浮きがちでどこか変わったところのある人間だという自覚は元々十二分にあったからです。

自分と他者―あるいはもう少し対象を広げると社会―との間に感じていた如何ともしがたいギャップ、それに名前が付いたことで自分が何者なのか少しは鮮明になった気がしました。漠然とした不安は、正体のはっきりした恐怖よりも厄介だということなのでしょう。

結局何なの?

ここまで言って結局何が言いたいかといえば、今まで通り接してほしいということです。

正直自分は変わり者という自覚はありながらも発達障害というものへの無理解からか、どこかで自分には関係ない困った人たちあるいは助けが必要な人たちという偏見がありました。この記事を読んでいる方にもそう思っている人はいるかもしれません。

自分がそうだったのであまり人のことを言える立場ではありませんが、発達障害はグラデーションのようなもので発達障害とまったく無縁の人はいないということは知っておいてほしいです。不注意によるミスや忘れ物、落ち着きの欠如、気分のムラ、程度の差はあれ誰にでも起こりうるものですし。

まあ、私の場合は薬さえ飲めば特にADHDに起因する症状はだいぶ抑え込める状況にあり、今では表向き発達障害を抱えていないように振る舞うことも苦ではないので言えることだとは思いますが。

そういうことなので、今まで通り普通の人(定型発達者)と接するように接してほしいというのが本音です。長々と語ってしまいましたが、いま語りたいことは以上です。

*1:大人の発達障害を扱う病院・診療所が受診者希望者に対して少ないせいか、予約も短いところでも1か月、長いところでは6か月待ちというのもザラにある、というのは精神科の先生談。