ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-
原作未読勢でFGOコラボはプレイ済みという状態だが楽しめた。
王の忠臣
本作はTYPE-MOON作品の魔術師たちの総本山とも言えるロンドンの「時計塔」の教授を務めつつエルメロイの名跡を継ぐことになったロード・エルメロイⅡ世ことウェイバー・ベルベットを主人公兼探偵役とする身の回りに起こる魔術を使った不可思議な事件を扱う小説を原作とする作品。
やっぱり事あるごとにでウェイバーらしさが垣間見えてくるエルメロイ先生。Zeroの中では、と言うかFateシリーズの全主従の中でもウェイバー&イスカンダル陣営が一二を争うほど好きなので感慨深い。Zeroとかウェイバーとかイスカンダルに思い入れがあるなら避けては通れないアニメだ。ケイネス師の姪でエルメロイの義妹のライネス嬢、口調といい話のレベルといい、8歳児とは思えない貫禄だ。10年も生きていないのに老獪さすら垣間見える。控えめな義兄の内弟子グレイとはお茶仲間になるなど関係が良好なのもいい。
ウェイバーの回想という形で、第四次聖杯戦争のギルガメッシュとイスカンダルの決戦が再現されたことには、感動に咽び泣きそうだった。ウェイバーとライダー・イスカンダルの関係は、主人(マスター)であるはずのウェイバーが臣下で、サーヴァント(使用人)たるイスカンダルが王という倒錯したものだった。そんな型破りな王に「生きろ」と命じられたその毅然たる姿勢を「忠道、大儀である。努、その在り方を損なうな」とあの英雄王ギルガメッシュを感心させるほどまでになった成長株がウェイバー・ベルベット。
一方で魔術とミステリーの併せ技が本作の持ち味だけど、あらゆる魔術師の目標「根源に至ること」は相変わらずよくわからないし退屈さを禁じ得ない。第4次聖杯戦争でギルガメッシュが時臣が根源を目指そうとしていることをつまらないと一蹴したのも宜なるかな。
それゆえ、謎解きパート*1を手段(How done it)や人物(Who done it)ではなく動機(Why done it)に注力したのは英断だったと思う。個人的にミステリー作品はそれなりに見るけど、謎解きそのものには大した興味はないし。
他作品キャラの出演
Fateシリーズの他の作品に登場するキャラクターが数多く出演するのも本作の特徴。ルヴィアにカウレス、獅子劫さん、幼少期のノイエ・カルデア所長のゴルドルフにカルデア前所長のオルガマリーも顔見世したあたりも嬉しいファンサービス。
FGOにも登場するロンゴミニアドの詠唱が印象的。6話のグレイちゃんがいろいろな服を着てくれてかわいかった(こなみ)それから獅子劫さんはこちらでも格好よかったなあ。それから、カウレスはこちらの世界でもフランの宝具っぽい術式を使えるようで、Apocryphaとのつながりを感じる。
こちらの世界のオルガマリーは、FGO時空と同じで誰にも認められていなかったが、エルメロイには勇気を認められたようである程度は幸福な暮らしを享受できそう。ライネスともビジネスライクな関係を構築する様子もあった。
あと何だかんだでグレイが好き*2。ネロといいモーさんことモードレッドといい、アルトリア顔シリーズのキャラはアルトリア本人以上に好きになる傾向がある。アッドがスノーボードに変形したのには草が生えたけど、アッドの人格のベースが円卓の騎士のケイ卿だというのは本当かね。中の人は同じらしいが
魔眼蒐集列車
7話からはいよいよ副題にもなっている魔眼蒐集列車編突入。ウェイバーことエルメロイはイスカンダルのマントを奪還できるのか。内弟子グレイを伴ってエルメロイは魔眼蒐集列車に乗り込む。触媒のマント自体、ケイネス師からかっぱらったものじゃないかとか言う無粋な輩は鰻玉丼の食べ過ぎで絶命してしまえ。魔術を使ったトリックによる殺人事件もあるよ!
犯人が従えていた敵サーヴァントのへファイスティオンの服装は完全にFGOのアレキサンダー*3の服装だった。ライダーっぽいけどクラス不明扱いでのちにフェイカーと呼称。瞳がヘテロクロミアなのはイスカンダルにも通じる史実を基にしたとされる逸話。犯人の正体はともかく、動機はよくわからなかったなあ。
そしてエルメロイ師、やっぱりイスカンダルのことが好きすぎる。最後の最後でイスカンダルの台詞が声付きだったのは感涙ものだった。未だに世界観やストーリーの全貌は掴めていないが、Zeroの結末を見届けた者としては納得感以外の雑念は一切感じていない。
本作は「Stay night」や「Zero」と同じ並行世界のストーリーということで、嫡流とも言える作品だが、先程も述べた通り他のシリーズのキャラクターも多数登場する。「Stay night」の存在が中核にあるのは大前提だが、Fateシリーズが同心円状に拡がっていくのはいい感じ。