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L'aube de l'horizon

ごきげんよう

響け!ユーフォニアム

アニメ レビュー 映画 百合

去る5/1は劇場版「響け!ユーフォニアム」を見に行ったので、昨年から見てきたTV版の内容も踏まえて思いの丈を述べてみたい。

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簡単な振り返り

ストーリー自体は極めてオーソドックスで、全国大会出場を目指す吹奏楽部の高校生の青春模様を描いたアニメ。今回見た総集編は、昨年4月から放送したTVアニメ版全12話を2時間の劇場版に再編したもの。前半を中心に個々のシーンや台詞は結構大胆にカットされているが、大筋については概ね追えるようになっているので、TVアニメ版が未視聴でも着いていける内容になっている。そして何より、劇場版なので音響面は申し分なし。登場人物が関西弁でしゃべる原作小説もあるけど、これは未読。

また、台詞を含めた解説なpixiv百科事典がかなり詳しい。この手のまとめ記事は、作品やキャラによってクオリティの差が大きいが、本作は記事を書く記者に恵まれていると思った。

くみれいについて

私がTVアニメ版を見たきっかけと言っても過言ではない、主人公である黄前久美子と高坂麗奈について。麗奈が中学時代のコンクールで敗退して「悔しくて死にそう」と号泣していたのを理解できなかった久美子が、高校入学後吹奏楽部で麗奈と活動を共にするうちに、彼女の悔しさを知るという展開が青春を感じさせてくれた。特に夏祭りの中、あえて暗くて人気のない大吉山に登り「私、興味ない人とは無理に仲良くなろうとは思わない。誰かと同じで安心するなんて、馬鹿げてる。当たり前に出来上がっている人の流れに、抵抗したいの。 全部は難しいけど、でもわかるでしょ?そういう意味不明な気持ち」と本音を語るに麗奈に影響されていくシーンには、緊張に似た高揚感が止まらず、見応えがあった。

だから、そんな麗奈に触発された久美子が、麗奈が先輩の香織とコンクールの課題曲のソロパートの演奏を巡っての再オーディションで対決することになった際に「自分が悪者になる」ことを気にする発言した時に「麗奈は特別になるんでしょ? 麗奈は他の人とは違う!麗奈は誰とも違う! 人に流されちゃダメだよ!そんなの馬鹿げてるでしょ!?」と、以前麗奈にかけられた言葉をそのまま使って発破をかけるあたり、よくわかってる。「今現在特別である」ことよりも「特別な自分であることを追求している」ことを麗奈に求めている、久美子の気持ちが手に取るようにわかる台詞である。その後の「いいよ!その時は私も悪者になるから! 香織先輩より、麗奈の方が良いって!ソロは麗奈が吹くべきだって言う!言ってやる!」「もし裏切ったら、殺していい」というどこか冷めていて人に流されやすい性格だった久美子らしからぬ発言に続いて「本気で殺すよ?」と麗奈が応えたのもいとをかし。と思ったら「麗奈ならしかねないもん。それが分かった上で言ってる。 だってこれは、愛の告白だから」で私はとどめを刺されてしまった。

「久美子は性格悪い」と何度も語る麗奈だが、きっと「性格悪い♡」と言っているに違いない。久美子は良くも悪くも裏表がなく(あっても簡単にバレる)、必要以上に他人に気を遣わないからこそ、妥協や馴れ合いの類を嫌い、人と違う自分でありたいという思いの強い麗奈に信頼されているのだと思う。まさに彼女なりの「愛の告白」だろう。彼女たちの関係を中心に、今後も目が離せない。

劇場版でカットされたシーンや台詞について

最後に、劇場版でカットされた印象深いシーン及び台詞について三点言及してみたい。主に久美子たちの先輩にあたる2,3年生のエピソードについて。

一点目に、優しい性格が祟って部長として部内をまとめきれず落ち込む晴香が、励ましに来た久美子に「優しいなんて、他に褒めるところがない人に言う台詞でしょ!」と言葉を投げ掛けたシーンについて。人を褒めるときの「優しい」という評価の空々しさを悔しいほど的確に突いている。この言葉を聞くと、もう簡単に人を「優しい」と評することはできない。私も人から「優しい」と評されはしたものの、相手の真意を疑う場面が多かっただけに。

二点目に、ソロパートを巡って麗奈とオーディションで対決するに当たって香織が晴香に「よく分からないけど、なんか見透かされてるような気がするんだよね。私が思ってること、何でも。だから、あすかを驚かせたい。あすかが思ってる私の一歩先を、本物の私が行きたい」と語ったシーンについて。劇場版では香織のソロパートへの思いは、主に優子がこの台詞のない劇場版だけだと、あすかのおちゃらけたキャラを演じつつ本音を隠し続ける底知れない内面がわかりにくかった感があるので、少し惜しかった。

三点目に、先輩である夏紀を差し置いてコンクールに参加することが決定して気まずさを感じていた久美子に、夏紀が「自分が練習してないところを吹いてって言われて、後はボロボロ。だから黄前ちゃんは実力でちゃんと勝ち取ったんだよ? 私はそれに納得してる。良かったって思ってるぐらい。だから変な気使わないでよ」と語ったシーンについて。どちらかと言えばきつそうな印象のある夏紀の後輩への気遣いぶりがよくわかる印象深いシーンである。

そして、久美子の姉の麻美子や幼なじみで先輩にあたる斎藤葵に至っては、出番すらカットされてしまった。上記3つの台詞を含め、尺の都合上仕方ないと言えば仕方がないが、やっぱり惜しい。


最後に。やっぱりくみれいに関する話で書く労力を費やしきってしまった。葉月や緑輝、秀一にも言及したかったけど、今回はこれにて。正直反省する必要はないよね。