劇場版 艦隊これくしょん
新年早々、元日から見に行った劇場版艦これの感想でも書くことにする。
おかえりなさい
見終わっての感想は「控えめに言って素晴らしかった」ということに尽きる。そして同時にこう思った。
な ぜ 最 初 か ら こ れ を や ら な か っ た ん だ
元々2015年春期に放送されたTVアニメ版のについては
- 如月が何のために沈められたのかアニメ版だけではよくわからない
- それに対する吹雪らの反応が淡白
- 一部キャラが二次創作の影響を受けすぎ(排他的なウザキャラと化した大井、行き遅れネタをやらされている足柄etc)
と、制作陣が内輪のノリで盛り上がって、それを理解できなければ置いてけぼりを喰らう、というようなスタンスで作ったとしか思えない雰囲気を作中の随所から感じた。見終えた時点では何だか残念なアニメという印象を否応なく受けた。
如月の轟沈という悲劇を受けた作品となっているのが、今回の劇場版。その内容の核心は一言で表現すれば「艦娘と深海棲艦の関係」。ゲーム版の棲鬼や棲姫といった深海棲艦のボスキャラのデザインや台詞を鑑みれば、彼女らが無念と悔恨のうちに沈んだ艦娘の成れの果てではないか、という推論は容易くできる。が、今回の劇場版では深海棲艦がかつて沈んだ艦娘であることが明言された。その作中で加賀が深海棲艦となった後、艦娘として蘇ったことが示唆されている。そして、主人公吹雪もまた、沈んだ後に再び命を吹き込まれた艦娘であった。
ここで如月のことに話を戻そう。如月と再会した吹雪、睦月、夕立の三人組だが、赤城、加賀と会話するうちに、艦娘が深海棲艦に変化してしまうケースがあることを知る。加賀は如月が深海棲艦になったらまた沈めるしかないというが、当然ながら睦月は再会できた親友を沈めることに当然固く反対する。そうこうしているうちに次第に深海棲艦に変化していく如月。それと並行してソロモン海中心部に蟠踞する深海棲艦との決戦のため、4つの艦隊が総力を決して出撃する作戦が決行され…。
戦闘シーンは史実のソロモン海海戦を意識したもの。比叡や霧島、川内や夕立の奮戦と彼女らが中破・大破するのはそれを物語っている。大和が戦艦棲姫2体を相手取って沈めるも、謎の声が聞こえる海域の中心部に向かう吹雪を庇って中破するシーンは本作オリジナルだが、なかなか熱かった。その後の「ここは私に任せて」という心の声でも聞こえてきそう。大和型戦艦の貫禄は伊達ではない。そんなこともあり、劇場でやまふぶに目覚めてしまった。
海域の中心部で吹雪が出会ったのは、かつて沈んだ自分の半身。ここで冒頭のシーンにリンクした。吹雪の半身は自分が艦だった頃の無念であったことを吹雪に告げる。この半身、何だか「ペルソナ4」に出てきたシャドウみたい。が、吹雪は半身との対話の中で自分がこの世に蘇ったのは、無念や嫉妬によるものではなく、何よりも「帰りたい」という思い(大和曰く「希望」)によるものであることに次第に気付く。その後半身は消え、負の感情で暗く淀んだ海は光を取り戻し、深海棲艦は消滅する。深海棲艦となり果せた如月はこの後消滅するも、スタッフロール後のパートで蘇っている。ゲームに準えて表現するなら、最終海域でドロップしたのだろう。
総合的にはアニメ版の欠点をことごとく、克服してよくやってくれたと思う。やればできるじゃないか(謎の上から目線)。最初からこういう作品を見たかった。というわけで、今はただこう言うしかない。みんな「ありがとう」。そして「おかえり」と。
その他個人的に気になったシーン
- 睦如とやまふぶはもちろん、瑞加賀と川神も熱い!
- キャラ崩壊がなくて嬉しい。大井とか天龍とか
- 如月も帰ってきた
祥鳳という黒歴史