行雲流水

ごきげんよう

ゆりの日記念記事

本日6月25日はゆりの日ということで、百合に因んだテーマの記事を書いたと思い至った次第。今まで触れた百合作品のうち、秀逸だと思った20作品を挙げてみたいと思う。単に上位30位までを挙げるのも芸がないような気がするので、コミックでも小説でも3巻を超えるものやアニメ化した作品、アンソロジー系については除外。


とりあえずベスト10はこのあたり。この辺まではいつものラインナップ。ここで挙げたものの一部は3巻以内のものやツイート当時の昨年11月時点でアニメ化が未定*1だったものもあるため、今回の記事で取り上げる作品と重複しているものがありますが、今回はご容赦ください。

記事として今回は対象外だけど、参考までにアニメ作品についても挙げておきます。


ゆりの日に捧げる20作品

というわけでようやく本題に。淡々と挙げていくことにする。現行~巻というのは2018年6月25日現在での集計ですよ。

現行2巻まで。都会から愛媛の高校に転校した小夏と高嶺の花として扱われるも気になる相手の前では途端に不器用になる小雪という二人の関係を描く。思っていたよりも本格的な二人だけの部活動、伊代弁という方言が飛び交う地方の学校、という舞台設定が実に自分好み。小夏が先輩である小雪に対してタメ口で、態度も仄かにSッ気を帯びているあたりにも引き込まれた。着実に距離を縮めている感がいい。アニメ化に大いに期待。

透明な薄い水色に (百合姫コミックス)

透明な薄い水色に (百合姫コミックス)

1巻完結。幼なじみもの。雨上がりの森にしっとりした艶やかさや濃厚な匂いが漂ってきそうな絵柄に美を感じた。律は一花への感情歪んでいると自嘲するものの、その表現そのものはストレートだと思った。ちょっと手段を択ばないというだけであって。恋敵(?)と関係が元の鞘に収まるのは珍しい。こういう関係もありかな。

吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん1 (電撃コミックスNEXT)

吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん1 (電撃コミックスNEXT)

現行2巻まで。Web連載時から注目していた吸血鬼ものの百合漫画。局部は隠しているのに、吸血行為がそのへんの性行為よりもずっと背徳的でエロいのがすごい。完璧さを求められてきた生徒会長のアイリスがコミュ力ゼロの後輩沙羅に引き込まれていく過程も好き。蝶鬼に血を吸われると1年以内には死ぬという事実を突きつけられるも、沙羅がアイリスに添い遂げようとする意志を感じられたのはよかった。吸血鬼ものに外れはない!?

キリング・ミー! 1 (MFC キューンシリーズ)

キリング・ミー! 1 (MFC キューンシリーズ)

現行1巻まで。こちらも吸血鬼が登場するが、「美夜子を殺していいのは私だけ」、「早貴ちゃんになら殺されてもいい」といった台詞自体はありがちだけど、十分説得力を感じられる丁寧さがあるのがいい。そんな2人の間柄はどこか「トムとジェリー」のようである。絵もなかなか自分好み。

夕凪マーブレット完全版

夕凪マーブレット完全版

1巻完結。過去の心の傷を癒せない転校生・美汐と、そんな周囲から浮きがちな彼女と接するうちにいろいろなことを知り、惹かれていく女子高生・江菜の話。設定ゆえに緊迫感のあるエモい展開だが、最終的には互いを公然とかわいいと褒め合うような関係になってしまうのがいとをかし。

ブルーフレンド 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)

ブルーフレンド 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)

3巻完結。少女漫画らしく(?)女子中学生の人間関係の危うさや複雑さの描写が絶妙な漫画。歩が美鈴を放っておけずに気にかけていくうちに、どんどん深みにはまっていく過程にリアリティがあり、なかなかスリリング。そんな中でもハッピーエンドで終わったので感無量。読んだ後に思ったことだけど、どうやら自分は訳ありの転校生とそんな転校生を気に掛ける子というシチュエーションが好きらしい。

現行3巻まで。ネット投票の「百合漫画大賞」で1位を獲得したことがきっかけで読んだ。伝統的な女子校で繰り広げられるスタンダードな百合作品と思いきや、それはコンセプトカフェでの演出での話であり、演出でお姉様と呼んでいた相手が因縁のあるいけ好かない相手でさあ大変!という具合のかなか際どくてメイン2人の感情の揺れ動きが烈しさよ。もう一人のヒロインも超絶地雷物件。

1巻完結。個人的に大人(社会人)百合としての白眉。天邪鬼気味なOLホテイさんと、有能でクールな新しい同僚のエビスさんの話。最初ホテイさんはエビスさんをいけ好かない女として反発するも、彼女の秘密を知って以来、二律背反的な感情を胸に、距離を徐々に縮めていく。テンポが適度であり、感情の揺れ動きのようなドラマ性がある、充実した内容。ラストが明るいのもいい。

ハミングガール (百合姫コミックス)

ハミングガール (百合姫コミックス)

1巻完結。基本的に絵柄通りの癒し系百合漫画。だが、「嫉妬」という感情を切り口に百合と男女間恋愛の相違点を説くなど、示唆的な話題もあって気付かされることもある作品だ。そしてどのカップルもみんなかわいくて一服の清涼剤のような漫画であった。

徒然日和(1) (百合姫コミックス)

徒然日和(1) (百合姫コミックス)

現行1巻まで。何の変哲もない田舎でのスクールライフを送ってきた小春が東京から引っ越してきた真冬と再会するシーンから話が始まる。会話や日常生活が主軸のゆったりと時が流れているかのような感じさせる作品。絵の丁寧かつ緻密な描写が情景に彩りを添えており、モノクロのトーンなのに色彩が伝わってくるようだ。

2巻完結。アニメでもおなじみ「響け!ユーフォニアム」シリーズのスピンオフ。マーチングの強豪校が舞台だが、練習に向けた熱量、一人ひとりが真剣であるがゆえに度々起こる衝突と、緊張感のある展開が続く。面倒見が良いが八方美人であることを見抜かれている梓と、彼女に憧れ初心者ながら奮闘するあみか、梓のそんな姿を見て悪態をつかずにいられない芹菜。元カノvs今カノの抗争という様相を呈する3人の青春ドラマから目を離せなかった。

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

2巻完結。舞台は19世紀半ばのロンドン。重い事情を抱えた令嬢が、また別の重い事情を抱えた掏摸の少女と出会って変わっていく、という王道的な話かと思えばそうでもなかった。スウとモード、二人を軸に物語が続くが、状況が二転三転するミステリー小説らしい展開と、陰謀と愛憎が渦巻く人間ドラマに目が離せない傑作だった。特にラストの展開には思わず目頭が熱くなった。

魔少女毒少女 リリスとサラの情炎行

魔少女毒少女 リリスとサラの情炎行

1巻完結。母と娘をそれぞれ演じるリリスとサラ、二人の少女の冒険を描く物語。とにかく戦いに強いリリスだが、サラの病魔の前には薬がなければ無力であるという点に絶望感を隠せない。中身の濃いストーリーを300ページ程度に凝縮する構成力と筆致の勢いには脱帽。過去の事情といった設定や心理描写も丁寧でカタルシスも抜群。

([あ]8-1)鹿乃江さんの左手 (ポプラ文庫 日本文学)

([あ]8-1)鹿乃江さんの左手 (ポプラ文庫 日本文学)

1巻完結。一部ネット界隈で話題になっていた百合小説を3篇収録。一応ジャンルとしてはミステリーだろうか。何でも願いを叶えるという魔女の噂が流れる女子高を舞台とし、憧憬から対抗心、焦燥感からもどかしさまで、登場人物の感情の揺れ動きの瑞々しさが、いかにも青春という風情で何とも心地よかった。

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)

1巻完結。自分以外の人間がロボットに見えるという不思議な少女を描くSFチックなライトノベル量子論や哲学論を衒学的に持ち出すのではなく、無限の並行世界での凄まじい試行錯誤を経て何とも百合的な導き出している。それ自体は単純なものだが、それゆえに印象深い。自分以外の全ての人がロボットに見えることを他人が実証できないように、他人の人生を自分が生きることはできない。

1巻完結。『安達としまむら』よりも作者初期の作品に雰囲気が近い百合小説。特に幼い頃に叔母の右眼を失明させた少女の話が。あれこれと思いを募らせた末に「あなたの右眼を傷つけて、よかった」というのはなかなかに重い。他三篇も淡々としているようで、方向の定まらない思いを抱える少女たちのもどかしさに思わず酔いしれてしまうような雰囲気があった。

桜色の春をこえて (電撃文庫)

桜色の春をこえて (電撃文庫)

1巻完結。互いに母親との距離感を抱えていた二人の女子高生が、不動産屋の手違いがきっかけで同居することに。イラストはライトノベル的だけど、世界観は飾り気のないジュブナイルという趣きで、この雰囲気がいたく気に入った。なかなか生活感があっていい。杏花が有住に星型のキーホルダーをプレゼントする時の余興が強く印象に残っている。

1巻完結。成人向けなので注意。ふとしたことから、いけ好かない委員長・怜那の弱味を握って興味本位であれこれ奉仕させる真桜。大筋としては自分の欲求の捌け口として利用していた相手に対して徐々に惹かれていくという、自分の性癖に見事に刺さるものだった。互いに惹かれ合っていく心理描写や終盤の立場の逆転といった展開も秀逸だった。

ひとつ海のパラスアテナ (電撃文庫)

ひとつ海のパラスアテナ (電撃文庫)

3巻完結。全ての陸地が海に沈んだ世界での海洋冒険もの。中盤以降は百合展開。ボーイッシュで女性としての自分に無自覚なアキと、女王様気質だが根は真面目で面倒見が良いタカの友情。そして、タイトルの意味が作中で明かされた時には思わず頷いた。作品全体を通じて、生きることの切実さを真摯に問いかける内容で好感が持てた。

幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫)

幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫)

1巻完結。絶版本ということだが、1冊に内容が凝縮されており、完成度は高い。希死念慮を抱える中学生・海幸と、廃棄された車輌を使って「創作活動」を続ける高校生・千夏(リガヤ)のひと夏の物語。生理不順だったり、自分自身に保険金をかけたりと死の臭いを漂わせる海幸だが、それ以上にリガヤの抱える闇が深刻であり、どこか共依存の関係にあったのが鮮烈。だからこそ幽霊列車のシーンと、それに続くラストの展開に思わず息を呑んだ。

*1:アニメか発表が