高野和明『ジェノサイド』角川書店
だいぶ間が空いたけど、今となっては仕方ないね。
- 作者: 高野和明
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/03/30
- メディア: 単行本
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1800円はちょっと高くついたかな
「このミステリーがすごい!2012」の首位作品にして、本屋大賞ノミネート作品。
ミステリーというよりはハリウッド映画にありそうなSFアクション。薬学、遺伝学など理系要素が強い。米国のバーンズ大統領はアフリカ・ルワンダの奥地で生まれ、一人で世界を滅ぼしかねない知能を有した新生児・ヌースの暗殺をジョナサン・イェーガーたち4人の傭兵に命じるが…。
そしてイェーガーの動向は、薬学を研究する日本の大学院生・古賀健人の動向と奇しくも結びついていく。健人は韓国人留学生の李正勲の協力を得て、肺胞上皮細胞硬化症という難病を患う少女のため、そして急死した父の遺志を継ぐためにも特効薬開発に乗り出す。
イェーガーの余命僅かな息子もまた、同じ病を抱えていた。イェーガーと健人、両者に残された時間は短い。官軍産複合体の頂点に立つバーンズは「人類の未来のため」と何としてもヌースを殺そうとするが、ストーリーが進展するにつれ、それが一面的な見方に過ぎないことが明らかにされていく。
作者は真面目な人なのだろうが、「英雄」という概念を心底嫌悪している模様。『Fate/Zero』衛宮切嗣じゃないんだから…。政治観も前に出すぎ。別に、人類史上の虐殺の事例として南京事件を引き合いに出すな、とは言わないけど、その後に反省云々について力説されても場違いの感が払拭できない。