疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

検証・若者の変貌―失われた10年の後に

検証・若者の変貌―失われた10年の後に

検証・若者の変貌―失われた10年の後に

「メディアと若者の今日的つきあい方」、「若者の道徳意識は衰退したか」、「若者の友人関係はどうなっているか」といった問題意識から”現代の若者”を取り巻く様々な様相を解き明かした本。世に蔓延る「最近の若者は~」というようなステレオタイプ的な若者論や不毛な若者バッシングに対して反論している。

この本を読むと一般的な若者に対する認識と実態にズレがあることがよくわかる。「メル友」、「オフ会」を利用する若者は10%台と意外と少ないものであること、友人関係の親密さは事故の開示の度合いから〈深い―浅い〉と単純に位置づけられないこと、若者の規範意識は案外高い(「約束の時間は守るべき」、「ゴミのポイ捨てはするべきではない」という意見には9割以上が賛成)ことはその具体例。

意識調査のサンプルが少ない(特に道徳意識に関する章)という問題もあるが、若者バッシングの枠を超えて若者の実態を知るためにも勉強になる本であることは間違いないと思う。