2019年4月の読書
4月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3262
ナイス数:102
華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)の感想
本作のヒロインのクラリス・マクラーレンが『ハーモニー』の御冷ミァハのモデルであるという説を聞いて再読。高速化・効率化の名目で複雑かつ難解な本の内容を簡略化・画一化・ダイジェスト化して人々の思考や解釈の幅を狭めるという手口と、それは民衆の要望に基づく施策であるという視点にジョージ・オーウェル『1984年』と似て非なる方法性を感じた。そして「人間社会から本を読んで思考することや解釈することを根絶することはできない」という思いを新たにした。
読了日:04月02日 著者:レイ・ブラッドベリ
吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん4 (電撃コミックスNEXT)の感想
蝶鬼と花贄との間の不可避的な宿命に対して、相手を信じて待ち続けるという葵と紫苑の関係と、生まれ変わっても再会しようという沙羅とアイリスとの関係を対比しつつどちらも感動的に描くという結末に感激。自分の中でスタンディングオベーションせざるを得なかった。
読了日:04月04日 著者:嵩乃朔
【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話 (宝島社文庫)の感想
北宇治高校吹奏楽部に焦点を当てた短編集。本編の内容を補完するような内容となっている。本物の天才に出会ってしまった斎藤葵の驚きと戸惑い、いつの間にか親友が目の前から去ってしまった鎧塚みぞれの喪失感、幼なじみであるがゆえにかえってなかなか進展しない黄前久美子と塚本秀一、そして彼女らを見て業を煮やす高坂麗奈、といった多彩な内容になっている。アニメ版は小説の内容と多少異なった内容だが、短編集を含めた小説を熟読した上で作られていることが窺えた。
読了日:04月08日 著者:武田 綾乃
響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌 (宝島社文庫)の感想
短編集とシリーズやキャラクターの紹介、作者インタビューなどを盛り込んだ一冊。「冬色ラプソディー」で演奏会の曲目を決めるシーンのみぞれにユーモアを感じた。立華編の柊木芹菜をはじめ、キャラクター紹介も油断できないほど濃くて満足。
読了日:04月10日 著者:
ひまわりさん (MFコミックス アライブシリーズ)の感想
ひまわり書店を経営する「ひまわりさん」と彼女を慕う風祭まつりをはじめとした人物を取り巻く人情ドラマ的なコミック。どことなく『ビブリア古書堂の事件手帖』を彷彿とさせる雰囲気と設定だが、こちらは癒し系の作風だった。あと百合。ボーイッシュ+ツンデレはあまり見かけない組み合わせなだけに威力が高い。
読了日:04月12日 著者:菅野 マナミ
ひまわりさん 2 (MFコミックス アライブシリーズ)の感想
お兄さん、一見ウザキャラにも見えるが、そうでもなくいいキャラしている。先代ひまわりさんが今のひまわりさんに与えた影響は大きい。
読了日:04月13日 著者:菅野マナミ
ひまわりさん3 (アライブコミックス)の感想
温泉街で見えてきたひまわりさんの更なる一面。やはりひまわりさんには無邪気なまつりが側にいるのにふさわしい。絵柄もストーリーも暖かみがあって好きな作品。
読了日:04月14日 著者:菅野 マナミ
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編 (宝島社文庫)の感想
久美子たちの高校生活ももう最後の一年。三年生になって部長のポジションに収まり、新一年生を迎えたことで、久美子が今まで以上に主人公らしさを発揮するようになっている。そしてそれが今まで築き上げてきた人間関係や演奏の練習の積み重ねの上にある、ということがよくわかる会心の一冊だった。今は期待と覚悟を胸に後編を待ちたい。
読了日:04月17日 著者:武田 綾乃
中国の歴史(一) (講談社文庫)の感想
中国歴史小説の大家が語る祖国の歴史。1巻は三皇五帝の神話時代から呉越の争いまで。『史記』はもちろん『竹書紀年』や『詩経』など膨大な文献をもとに平易かつ流麗な文体で中国史を概説する。晋の文公が亡命を経て覇者となった経緯や、呉王夫差と越王勾践の争いの過程が話として完成度が高すぎる点に疑問を呈示していたところに着眼点の鋭さ感じた。
読了日:04月23日 著者:陳 舜臣
中国の歴史(二) (講談社文庫)の感想
春秋・戦国時代の転換期から王莽による漢の簒奪まで。鉄製の農具や武器の普及、それらを前提とした商鞅の改革により、国家や戦争の大規模化が顕著になり、中原統一への機運が高まる。この時期に成し遂げられた秦や漢の統一が後の王朝のフォーマットを規定したと思うと、感嘆せざるを得ない。
読了日:04月27日 著者:陳 舜臣
リバティの感想
「ガレット」時代から気になっていた作品。純情でボーイッシュなOLと顔のいい小悪魔系美女とのお話。Lizの魔性の女ぶりに翻弄される真生の姿に、かなりマイルドではあるが、谷崎潤一郎『痴人の愛』に通じる部分を感じた。
読了日:04月30日 著者:百乃 モト
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