疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

恋する小惑星

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恋する小惑星 Vol.1 [Blu-ray]

恋する小惑星 Vol.1 [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: Blu-ray

JAXAが協力する国策百合アニメ

原作のコミックを読まずに見始めた感触としては、天文学だけでなく地学要素もあるあたり作り込まれたアニメだと思った。何気に川越が舞台なのもいい。聖地巡礼がしやすい。

主役のみらとあおは小学生の頃から天体観測が好きで、小惑星を発見するという夢を共有する。二人は違う学校に通うことになるが、高校で再会を果たす。それにしても、あおを高校で再会するまでずっと男の子だと思っていたみらもみらだが、あおの口下手&恥ずかしがり屋ムーブが完璧すぎて素晴らしい。幼い子供相手でもそれが表に出てしまうあたり、結構重症な気がするが。

それにしても、すずのハイテンションな百合のオタクだけど有能なムーブができる器用さ、みらに近付くのが男子だったら絶対に許さないけど、女子だったらOKだというあたりに“本物”を感じさせる百合のオタクだ。中の人のはっちゃけた演技もnice.彼女が真摯に慕っていたみさ姉が大学進学を機に引っ越すことを知ったときに取った行動は印象深かった。

それはそうと、地学部員が皆自分の夢や目標を設定するなり見つけるなりしてそれに向き合う姿勢が作中を通して一貫していたのが本作の魅力。みらあおの夢は小惑星発見だが、夢に近づく部活動の一環としてつくば学園都市のJAXA見学までやってのけてしまう。それから、モンロー先輩の宇宙飛行士になりたいという夢は大きい。小惑星発見とどちらがハードルが高いだろうか。

2人の先輩卒業後に入部した新1年生2人もなかなか個性的だが、環水平アークという気象用語が登場するアニメは後にも先にも本作だけかもしれない。夢のために親御さんを説得して、みらとの同居を選んだあおの心意気に感服。あおみら同居でいろいろ始まったな、と良からぬ期待を抱いてしまった。心が汚れてるな自分。石垣島でのきら星チャレンジでの小惑星発見はできなかったみらあおだけど、二人の夢はまだまだ続くことを予感させるきれいなエンディングだった。コミックの既刊3巻をほぼ丸々使っただけに、続刊もアニメも続きが出るとしたらしばらく先だろうから気長に待つしかない。

最後になるが、オープニングテーマの「歩いていこう!」もエンディングテーマ「夜空」もアニメの雰囲気にマッチしていて感動を誘う。優しげなバラードであったためか、思わずしみじみと感慨に耽ってしまう。映像の時間帯的にも夕方と夜でしっかりコントラストがあって映える。