疾風勁草

子曰く、歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る

2020年7月の読書

7月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2097
ナイス数:91

雨でも晴れでも (1) (電撃コミックスNEXT)雨でも晴れでも (1) (電撃コミックスNEXT)感想
リニューアルされたことで、作者の言っていたしっとり感の他にメイン二人の人間関係の不器用さがより強調されているように思った。それにしても猫崎蓮の自己嫌悪が根深すぎる。あまり心配はしていないが行く手が険しいことは必至。
読了日:07月01日 著者:あらた 伊里
今日、小柴葵に会えたら。 (2) (REXコミックス)今日、小柴葵に会えたら。 (2) (REXコミックス)感想
相変わらず絵が好きすぎる。そして原作担当がラノベ作家だからか、台詞回しはそれっぽい。第三者(それも男!)の介入で葵への感情の正体に気付いてしまうあたり、なかなか難しい。
読了日:07月02日 著者:フライ:漫画,竹岡 葉月:原作
彼女のイデア 2 (電撃コミックスNEXT)彼女のイデア 2 (電撃コミックスNEXT)感想
憧れの澄花が偶像に過ぎないことを知っていとが距離を取ろうとする展開は何と言っても切ない。宮奈さんやら澄花の母親やらの物語への参入したあたりから不穏な空気が立ち込めたが、その後の澄花の無垢な稚気をいとに見せる展開はいい。
読了日:07月05日 著者:冬芽 沙也
反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)感想
前回読んだのはトランプ大統領就任前。功罪ともに大きい「反知性主義」だが、ヨーロッパ的な知的エリートと権力の結び付きを警戒した流れについては腑に落ちた。イエスパリサイ派形式主義選民思想を問題視したことや、フスやルターがカトリック教会の堕落を糾弾した時と同じような一連の動きとして捉えることができると思った。本邦でいうと、鎌倉時代親鸞や一遍らによる仏教の大衆化の潮流が近い現象かもしれない。
読了日:07月07日 著者:森本 あんり
シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス (ちくま文庫)シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス (ちくま文庫)感想
アニメ「PSYCHO-PASS」に作品名が登場したことが読んだきっかけ。ローマの将軍タイタス・アンドロニカスとゴート族の女王タモーラとその係累同士の血で血を洗う惨劇。一族を惨殺されたら惨殺や凌辱で報復するという凄惨極まりない内容だが、ギリシャ古典を故事のように引用する箇所が多いため詩的な美も感じられる脚本だった。
読了日:07月08日 著者:ウィリアム・シェイクスピア
オクトローグ 酉島伝法作品集成オクトローグ 酉島伝法作品集成感想
「人類から最もかけ離れた想像力」という惹句に偽りなし。劈頭の「環刑錮」から「ドグラ・マグラ」も斯くやと思えるほどグロテスクで幻想的な短編小説を繰り出すキレッキレの布陣で病みそうになった。日常が怪異に浸蝕されていく話から、終始一貫して異種族の世界を舞台としたものまで、作中世界を映し出す解像度の高さのおかげで作者の奔放不羈な想像力の世界へ船出することができた。
読了日:07月10日 著者:酉島 伝法
どうぞ愛をお叫びくださいどうぞ愛をお叫びください感想
男子高校生4人がYouTuberとしてゲームの実況動画を配信する活動を描く。4人でわちゃわちゃ楽しげにやっている感じがいい光の武田綾乃作品。作者のゲームや動画配信の文化に対する造詣の深さだけでなく、TVでの芸能活動とYouTuberとしての活動の相違点の考察など観察眼の鋭さは本作でも健在。サブキャラの桜田さんあたりは「ユーフォ 」に出てもおかしくなさそう。
読了日:07月12日 著者:武田 綾乃
このぬくもりを君と呼ぶんだ (ガガガ文庫)このぬくもりを君と呼ぶんだ (ガガガ文庫)感想
偽りが犇めく地下都市を舞台とした青春SF小説。レニーのフェイクへの忌避感と、彼女のしたことを知ったトーカ、二人の互いに対する感情の一連の流れに感動できる良作。本作はこれできれいに完結している。そして最後まで読むと表紙のイラストの状況がわかって心に沁みる。それにつけても最近の百合漫画家のイラスト付きライトノベルの隆盛が著しい。
読了日:07月18日 著者:悠木 りん
女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話2 (GA文庫)女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話2 (GA文庫)感想
「将を射んとせば先ず馬を射よ」とばかりに鞠佳の周囲の友達に好感を持たれようとする絢のやり方を、鞠佳が彼女を「しっかりと努力する、健気な女の子」として認めていく展開が好き。
読了日:07月20日 著者:みかみてれん
ささやくように恋を唄う(3) (百合姫コミックス)ささやくように恋を唄う(3) (百合姫コミックス)感想
ひまりと依先輩の関係は安定していて軌道に乗ってきた感はあるけど、アキ先輩といい15話の最後のシーンに登場した新キャラといいやや不穏な因子があって、そのあたりを含めて今後に期待。
読了日:07月21日 著者:竹嶋 えく
ふたごわずらい(1) (百合姫コミックス)ふたごわずらい(1) (百合姫コミックス)感想
いい意味で絵柄と中身のギャップが激しい。双子同士の感情の応酬だけでも不穏な雰囲気なのに、それに対して大沢麻紀先生の教師としての立場と双子(特にアコ)への感情との間の揺らぎの不安定に見応えがあって、感情の欲張りセットのようだった。
読了日:07月22日 著者:桜野 いつき

読書メーター